政治


まずこの投稿の概略をご紹介します。表題のテーマを語るのに最もふさわしい事例をロシアのプーチン大統領の一般教書演説に求めました。次に日本の野党を代表する立憲民主党が、アベノミクスに代わる経済政策の調査会を設置したことについての評価を述べております。

1.プーチン大統領の年次教書演説についての異なる報道を2件

◼ テレビ朝日系(ANN)2月20日の報道

ロシアのプーチン大統領は政策の基本方針を示す年次教書演説を行い、アメリカとその同盟国が最新兵器の標的になる可能性を示して強く牽制(けんせい)しました。

ロシア、プーチン大統領 :「米国側に我々の最新兵器の射程と速度を計算させよう。米国側は計算した後で我が国を脅すかを決めればいい」
プーチン大統領は20日、アメリカが中距離ミサイルをヨーロッパ諸国に配備するならロシアは配備した国とアメリカの双方を最新兵器の標的に据えると警告しました。

◼ AFP通信 2月20日の報道

ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は20日、年次教書演説を行い、早急な国民生活の改善を約束した。

これまでにないほど支持率が下落する中、プーチン大統領は両院議員の前で演説し、「われわれは待てない。この状況を今改善しなければならない」「今年中に(ロシア国民は)良い方向へ変化していると感じるようになる」と述べた。

プーチン大統領はまた、生活水準を向上させるとする一連の政策を発表するとともに、新生児をめぐる新たな恩典と大家族に対する減税といった、低下する出生率への取り組みの強化にも言及。「家族の価値を高めるため、あらゆることをしてきたし今後も行っていく」「家族の収入はもちろん増加する」と話した。

プーチン大統領はさらに、ロシアは人口統計において「厳しい局面」にあるとし、「根本方針は、より多くの子ども、より少ない税金」だと述べた。

◼ この2つの報道の意味するもの

まるで正反対の内容だが、どちらも真実です。昨年のプーチン年次教書演説ではどちらかと云えば、軍事的発言が満載の内容だったのです。大型スクリーンを使用して、新しく開発された超音速巡航ミサイルや、ミサイル搭載可能で沿岸接近可能なリモコン潜水艦など戦力を誇示するものばかりでした。この時期には外交的には、武力によって経済制裁の対抗し、内政面では「強いロシア」を掲げて愛国心を煽る内容でした。

昨年から今年にかけてプーチン大統領の支持率が80%台から60%台に急落し、デモが盛んに行われる状況に変化したことは衆知の事実です。このことこそが、権力がいくら愛国心に訴えても、国民の生活が苦しくなるような経済情勢には勝てない事を如実に表しているのです。

従って、2月20日のテレビ朝日Webの報道は「強いロシア」が年次教書演説の主題のように伝えていますが、むしろAPN通信の報道にこそプーチン大統領が強調したいポイントの多くが含まれているのです。

2.立民 アベノミクスに代わる経済政策 調査会設置し検討へ
2019年2月25日 6時08分 NHKニュースWEB

アベノミクスに代わる経済政策をまとめるため、立憲民主党は新たな調査会を設置し、社会保障や教育などに重点的に投資することで、将来の不安を解消し、消費の拡大につなげる具体策などを検討する方針です。

立憲民主党は、安倍政権の経済政策=アベノミクスに代わる経済政策をまとめるため、新たに「経済政策調査会」を設置し、会長には逢坂政務調査会長が就任しました。

アベノミクスについて、枝野代表は富裕層に恩恵をもたらすもので、格差の拡大を助長しているなどと批判し、中間層を再生させるためのボトムアップ型の経済政策を実現すべきだと主張しています。

これを踏まえ、調査会では保育士や介護職員の給与を引き上げるなど、社会保障や教育などに重点的に投資することで、将来の不安を解消し、消費の拡大につなげる具体策などを検討する方針です。

立憲民主党は夏の参議院選挙の公約にも反映させ、安倍政権に対する対立軸の1つとして打ち出したい考えです。

◼ この報道の意味するもの

旧民主党の失敗の原因はと云えば、しっかりした経済政策が殆ど無く、デフレ経済で国民の生活が苦しい状況を無視して、「財源は?」と云う圧力に負け「福祉充実のためには消費税が必要だ」とし、間違った政策に走ったことが大きな原因でした。

自民党の経済政策の失敗やリーマンショックの後遺症と云うデフレの根本原因に立ち向かう機会を逃し、新自由主義の格差拡大、企業優遇、金持ち優遇、トリクルダウンの欺瞞を許す結果になってしまったのはまことに残念なことでした。

この失敗の反省が野党に欠けていたことに漸く気づいたのか、今回の立憲民主党の経済政策重視の姿勢は歓迎すべきことではないかと考えます。但し、もう一歩突っ込んで、アメリカの民主党で勃興しているバニー・サンダース率いる社会民主主義の動きを研究するべきだと思うのです。

旧社会主義は国家主義的であり、どちらかと云えば民主主義を破壊し格差を拡大する新自由主義に対抗でき得なかったのです。

アメリカ民主党で、バニー・サンダースが推す民主社会主義者・28歳の女性オカシオ・コルデス下院議員は格差解消とともに、脱原発・大気汚染対策などグリーンニューディール政策を提唱し若者たちの支持を集めております。「社会民主主義」は格差の解消と共に、環境問題に取り組む姿勢を鮮明にうちだしています。

一方、アベノミクスは強きを助け弱気をくじく欺瞞に満ちた政策であり、中産階級を弱体化した罪は重いと思います。

歴史的事実を列記すると

2015年9月、自民党総裁選直後、安倍氏はGDP600兆円目標をぶち上げた

同年10月、麻生氏が経済諮問会議で統計改革を提言

2016年3月、高市総務大臣が経済諮問会議で政府統計の維持改善を提言、安倍首相も同意した

同年6月、内閣府はアベノミクス3本の矢に関し「600兆円経済に向けて」を発表、その最後に経済統計改善の項目を記載、山本幸三氏が統計改革の重要性の資料として「政治主導で統計改革を」を経済諮問会議に提出した

「アベノミクス偽装」を浮き彫りにした毎月勤労統計の不正調査問題をめぐって、野党合同ヒアリングなどで重要な指摘を続けてきた明石順平弁護士が、2月26日の衆議院予算委員会の公聴会に公述人として出席しました。
「算出方法の異なるものを比較した伸び率は、端的にいって嘘の数字であると思います」と、統計不正問題を猛批判、 総務省は問題をごまかすために文書を「捏造」したと言いきっております。その上で、統計法60条2号に違反する可能性を指摘しました。※統計法(平成19年法律第53号)

統計不正は56の基幹統計の内23あると言われておりますが、これに増して深刻な問題は、GDP600兆円目標に関する異常値で、国際的にも問題となる異常値です。

明石順平著「アベノミクスによろしく」によれば、2016年12月8日、内閣府はGDPの算出方法を変更し、それに伴い、1994年以降のGDPをすべて改定し発表した。これはGDPの国際規格「2008SNA」対応しての改定とされているが、問題は国際規格「2008SNA」対応に便乗し、「その他」の項目で20017年のGDPは7.5兆円もかさ上げされている点だ。この「その他」は一応明細が書かれてはいるが各項目に「等」が付記されており、不透明さが目立つ。

立憲民主党がアベノミクス批判に基づく経済政策策定に乗り出したことは評価しますが、統計不正を含め、与党の経済政策の矛盾を徹底的に明らかにし、責任を取らせるところまでいくべきで、くれぐれも負の遺産を一方的に背負い込まないよう注意するべきです。

世論調査で「景気と暮らし」が第一位の関心事となっている事に対応し、アベノミクスに代わる信頼に足る景気対策=経済政策(命と生活を重視した経済政策)を提示することが野党に求められる必須有条件ではないでしょうか。更に、根底を支える思想は「社会民主主義」が現状では最強ではないかと信じております。

政治

スエーデンの国政選挙投票率は87%と云う。日本の50%内外とくらべると余りにも大きな差があるので、何故だろうと疑問を持っておりました。

この疑問に答えてくれるような講演会が先日ありましたので、早速聴講しました。「変えよう選挙制度の会」田中久雄氏と「スエーデンの若者政策研究家」両角辰平氏が講師でした。両氏ともスエーデンに長期滞在された経験者なので詳細にその事情を説明していただけました。

今回の投稿は以上の講演会から学んだ情報の要点をご紹介し、私なりの疑問と見解を述べさせていただきたいと思い、このサイトにUPいたしました。

まず、スエーデン国民の政治意識の高さの要因をあげてみます

1.高い投票率
2002年:80.11%、2006年:81.99%、2014年:85.3%、2018年:87.1%
4年に一度の国・地方の同日選挙、行き届いた年少世代からの主権者教育、民主主義大使などの投票率アップの活動、比例代表制で選択政党が豊富(国政だけでも34の政党が参加)、高い投票率の要因には以上の事があげられる。

2.スエーデンの選挙制度
一院制で名簿式比例代表制、県単位の比例区、調整議席の制度、その他比例配分の歪の是正措置を細かく規定。

3.高い女性の政治参加
国会議員349名の中161名、約46%が女性議員
ほとんどの政党が比例代表制において候補者男女交互リストを採用、手厚い産休・育休・両親手当・兼業・兼職・休職・復職・代理議員などの制度が完備されている。

4. 若者が活躍する社会
30歳以下の若者の投票率は81%、若い政治家が多い(18~24歳:2.3%、25~29歳:8.3%)、若者が参加する場が多い:若者市民社会庁・若者協議会・学校教育庁・生徒組合・政党青年部など。学校民主主義の徹底(教育とユースワーク)。

以上を通じて言えることは政治が日常に浸透していること。日本のように政治的発言をタブー視するような雰囲気はない。市民の間で政治の話が自由に出来、対話の場がきめ細かく設けられている。更に政党の選挙活動は選挙のときだけでなく、日常的にその場を選ばず家庭訪問も含めて自由に行われている。

民主主義と福祉国家を支えているスエーデンの高い投票率を羨ましく思うばかりでなく、また有権者の数と年齢構成を理由に同じようにはいかないと片付けてしまうばかりでなく、我が国が何故立ち遅れているのかを解明しなければなりません。その上でどうしたら改善できるかを考える必要があります。

講演会から得た情報で、はっきり言えることは、政権の目指す方向が全く異なること、政治に対する国民の感覚と社会の雰囲気がぜんぜん違うこと、などがあります。これを云うと鶏が先か卵が先かのどうどうめぐりになってしまい解決策にたどり着くことができなくなります。

結論から申し上げれば、すべての災いは今の日本の政治を担う政権与党が後ろ向きである事が最大の原因だと言えるのですが、政権交代しなければ問題の解決には至らず、まず政権交代をいかにして実現するかを真剣に考える必要があるということです。

嘘と隠蔽、改竄と誤魔化しが横行し、権力強化にばかり奔走する政権には一日も早く退場してもらわなくてはならないのですが、野党の大連合から出発して最終的には民主的な連立政権にたどり着く必要があります。ヨーロッパでは比例代表制が選挙制度では主流でその結果として連立政権とならざるを得ないと云う事情があります。むしろ比例代表制と連立政権のほうが、政治意識の多様性をもたらし、政権内及び選挙民の政治意識を高める良い点があるのです。

講演会の講師たちも、日本の場合は、小選挙区制がネックでありこれによって民意が反映しにくくなり多様性が失われると警告しています。比例代表制に戻すべきで、当然連立政権が生まれます。連立政権は意思統一が困難だと言われますが、むしろ政策協議のなかで議論が生まれ多様性が生かされるメリットも生じるのです。これが民意に反映し選挙民の政治意識を高めることにつながります。

よく比例代表制や連立政権では物事が決められず、政治の停滞をもたらすと云う意見があります。しかしこれは単に議員や選挙民の熟議が足りないことを棚に上げ、一強政治を誘導する企みに過ぎないのです。対話と熟議、多様性の尊重こそ民主主義の根幹であるはずです。

グローバル化の中で資本主義が変貌し新自由主義のもとで貧富の格差が拡がり、アメリカでは8名の大富豪の富が下位半数の富に等しいと云うような歪が生じているのです。民主主義の破壊は経済ばかりでなく社会全般に拡がりつつあります。二大政党制なども、資本主義の変貌から生まれたエセ民主主義の象徴と云える政治制度です。

アメリカやヨーロッパではポピュリズムで右傾化した政治勢力が台頭していると言われております。スエーデンでもスエーデン国民党のようなポピュリズム政党が生まれています。しかし「高い民主主義の成熟した社会はこれを安易に受け入れることはない」と講師の方も断言されていました。

アメリカでは二大政党下の民主党においてはクリントン/オバマ政権で軍産勢力に迎合する向きも見られましたが、最近の下院選挙でサンダースが率いる「新社会主義」勢力が台頭し、アレクサンドリア・オカシオ – コルテス議員(女性20代)は格差解消とともに、脱原発・大気汚染対策などグリーンニューディール政策を提唱し若者たちの支持を集めております。「新社会主義」は格差の解消と共に、環境問題に取り組む姿勢を鮮明にうちだしていることに注目しなければなりません。

これだけ格差が拡がり、金融経済の危機も迫ってきている現状においては、欧米諸国に「新社会主義」の動きが台頭してくるのは当然の成り行きです。日本もこれに呼応した動きが出てくるでしょう。

基幹統計の56中23が不正だというニュースは世界に知れることとなり、ヘッジファンドの世界ですら日本批判が出てきているのです。
以下ヘッジファンドZero Hedgeのレポート
Japan Data Scandal:Tokyo Admits 40% of its Economic Data is “Fake News” と云う見出しがついています。概要は、国の政策の指標となるべき統計が官僚の手によって偽装されていたとなると、旧共産圏や第三世界の独裁国家と大差ない。日本の国際信用の失墜は免れず、国債の暴落は必定。—-と云う内容で大変手厳しい批判です。

最後に、我が国の政権交代の動きに焦点を当て、知り得た情報を下記いたします。

一党独裁の弊害は小選挙区制から生まれたものと言っても過言ではないでしょう。しかしながら選挙制度の改善は今の政権では不可能です。現状において政権交代を求めれば、今の小選挙区制下で如何にたたかい、如何に多数を取るかを真剣に考えなければなりません。

カギは当然のことながら「野党の連携をいかにして強固なものにするか」にあります。先の投稿でも述べましたが1月28日に野党5党と一会派の共同宣言がまとまったのです。これが基礎となり野党大連合ができるのではないかと予測しておりました。その後立憲民主党の枝野代表が主導して、野党5党と一会派に政策協定を実現する動きだと云うニュースが出てきました。これまではこの種の動きを封じるような逆宣伝が盛んに行われていたのです。いよいよ本気になったなと嬉しく思いました。

政党の動きだけではなく、市民運動として政治体制を根本的に変えること「格差の解消、民主主義と命・生活・経済を守ること、多様性と持続性の復活」などの基本的な課題に取り組まなくてななりません。2月~3月は米朝会談、ブレグジット、米中貿易交渉、金融経済危機の深い潜行など大きな変化のイベントが続きます。「一人一人が情報に敏感となり身を守る動きをする」ことこそが政治体制を変える力となるのです。

追記:今日のニュースで「国民民主・自由党の会派に猪木議員が参加する」、玉木・小沢・猪木の記者会見が放映されました。小沢さんが口説いた様です。鈴木哲夫氏はこれは序章で今後意外な有名人がこの動きに加わってくるだろうと発言されていました。一強体制を崩すにはこのようなドラマが必要なのかもしれません。願わくば、それが達成できたあとは正常な民主主義の回復の道を歩む事を期待します。