なぜ日本政府は原発に固執するのか?

政治的課題で優先順位を云えば、命、生活、経済、ではないでしょうか。
命に関わる度合いが高くしかもこの3項目の全てに関係するテーマと云えば、原発だと断言できます。
統計不正も根本的な大きな問題ですが、直接的に命に関係するテーマとは云えません。
従って、今回は忘れかけている原発問題に焦点をあててこの投稿を書きあげました。
この課題には高度の専門知識が必要なのでBSTBSの報道1930「岐路に立つ日本の原発政策」と福島第一原子力発電所で事故処理に携わっていた元技術者の報告を参考にさせていただきました。
 
まず概要を下記します。
 
1兆1300億円かけた高速増殖炉もんじゅが本稼働に至らず2016年廃炉決定した。これによって核燃料サイクルが破綻し、プルトニューム47トン(長崎原発6000発分)を抱え込んだまま。
 
モックス燃料での逃げ道も行き詰まる。3号炉のモックス燃料は超危険。
虚構の核燃サイクルから目をそらし打つ手なし。性懲りもなくもう一度高速増殖炉に挑戦するという。
 
官僚機構の一度決めたことは絶対にやめられず、しがみつく悪い習性、これを「プロジェクト不滅の法則」と云うらしい。(mox燃料データ改竄が各所で行われていたことが判明している。)
 
とにかく、後世代にツケを残すことだけはヤメてもらいたいと云う気持ちです。
 
■ BSTBS「報道1930:岐路に立つ日本の原発政策」より。副題:なぜ日本は原発に固執するのか—日米協定の意味
 
太陽光パネル 世界における日本のシェア
2005年には48.2%ものシェアを持っていた日本は、2017年にはシャープ、京セラ、パナソニック、三菱電機が世界の太陽光パネル事業から敗退してシェア争いのリストに上がらなくなった。つまりゼロ敗を喫してしまった。これは政府が再エネの補助金を大幅削減したのが原因とされている。
 
これに対して、ドイツの再エネ率は2000年に6.4%だったのが、2018年には38%に上がっている。当初目標の4年前倒しとなっている。
 
メルケル首相は「日本のフクシマ原発事故をみて脱原発・再エネに切り替える決断をした」と述べている。1998年緑の党との連立、SPDの協同、200年の政府と経済界の脱原発協定、利害関係者を除外した倫理委員会の設置、2011年8月脱原発法成立、等々官民一体のたゆまぬ努力の成果だ。2050年に再エネ率80%を掲げているが少なくとも5年は前倒しできる見込み。
 
再エネのコストは当初は高く、電気料金が2倍に跳ね上がった時期を経過している。ドイツ国民はそれでも脱原発の道を支持した。現在のコストは10円/1Kwhとなっているが将来的には1セント(1.1円)も視野に入っている。設備費が量産効果により飛躍的に下がって償却費がゼロに近づきつつあること、地域分散型の配電網が既に整っていたこと、原発と違って材料費は殆どかからず設備規模のメリットが生かされること、消費者の意識変化、などがその理由だ。
 
原発輸出総崩れ、トルコ(三菱重工)、リトアニア(日立)、アメリカ(東芝)、イギリス(日立)、この他ベトナム・台湾、など。設備コスト・維持管理費などが異常に高く付き採算が合わないことや輸出先の市民の反対などで破談になっている。ロシアのように原発稼働のゴミまで引き取る契約には勝てない、事故処理費を全面的に引き受けることなど到底不可能。日立が撤退したのもこの理由。
 
1兆1300億円かけた高速増殖炉もんじゅが本稼働に至らず2016年廃炉決定した。これによって核燃料サイクルが破綻し、プルトニューム47トン(長崎原発6000発分)を抱え込んだまま。モックス燃料での逃げ道も行き詰まる。虚妄のサイクルから目をそらし、もんじゅで失敗した高速増殖炉を米研究機関と協同で推進しようとしている。原子力の父と言われる故・伊原義徳氏(原子力学会会長)は、「しがみついてやっている。一旦初めたらやめられない官僚機構の気風だ」と指摘されている。対談の参加者の間では、「政治家や官僚の中にはプルトニュームを大量に持つことが安全保障の強力な武器になると云う見解をあからさまに述べる向きもある」との発言があった。更にオバマ大統領の時代には日本が保有するプルトニュームを減らす指示が出されていたが、トランプ大統領になってからはアメリカでプルトニュームの産出ができないため、さらに英国もプルトニューム供給を断っているため、日本がこれを代行するよう圧力がかかった。高速増殖炉を米研究機関と協同研究もこの頃から始まっている。
 
世界は今、ゼロエミッションがビジネスの中心となりRE100(Renewable Energy100%)への参加企業が増えている(2019年2月現在162企業)。事業運営を100%再生エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が加盟する国際イニシャティブ、CO2排出量削減の動きは、再エネが低価格で安定的であることを折り込み済みだ。日本の参加企業はまだ9社しかない。この流れに乗り遅れると日本企業はグローバル市場での活動が困難になる。政府の消極姿勢に頼っていては企業の存続が危うくなる事を自覚して、企業主導のうごきがこの分野では出てくるだろう。
 
■ 福島第一原子力発電所で事故処理に携わっていた元技術者の報告
 
もしフクイチ3号炉の地下核燃料(プルサーマル核燃料)が不完全爆発を起こしたらどうなるのか? 最悪の場合、フクイチの敷地ごと爆発飛散してしまう可能性がある。そして、日本列島全土に、大量のプルトニウム使用済み核燃料=アクチノイド核種およびマイナーアクチノイドという猛毒核種がばらまかれることになる。
(マイナーアクチノイドは、アクチノイド核種からウランXとプルトニウム239を除いたもの)
 
もちろん、通常のプルトニウム239やウラン235のような、猛烈な連鎖反応はなくて、核燃料本体のプルトニウム239を核爆発させる能力はなかったが、付近を吹っ飛ばすくらいの大爆発を起こす力はあった。
 これが、ガンダーセンの説明した三号炉即発核臨界の意味である。
 
 問題は今なのである。プルトニウム239の半減期は24000年、事故時から、ほとんど減っていない。プルトニウム240の半減期は6500年、これも減衰していない。
 あとは、両者を含むプルサーマル核燃料が、地下に沈降し、ブスブスと地下で散発的に臨界を繰り返すことで、反応のたびに、プルトニウム240の比率が高まってゆくのである。
 もちろん、こんな事故は人類開闢以来初めてのことなので、誰もパラメータを理解していないし、プルトニウム240が、どのような現状にあるのか知るよしもないが、少なくとも、ガンダーセンのいう即発臨界=不完全核爆発のリスクは、臨界が続けば続くほどに高まってゆくのは確実である。
 
 おそらく、半径数百キロ、東京あたりまで、永久に居住不能になるだろう。すでに起きているフクイチ放射能による障害に加えて、桁違いの猛毒が地表を覆うのである。
 
表題のフクイチ三号炉における不完全核爆発のリスクとは、このように臨界のたびに増えてゆくプルトニウム240が、何らかの刺激、例えば、核燃料に近い位置で水素爆発が起きるような圧力が発生しただけで、不完全核爆発を引き起こし莫大なアクチノイド系危険核種が大気放出される可能性があることである。
 
 これで何が起きるのかというと、三号機の地下が爆発源になるのだから、フクイチのすべての原子炉を吹っ飛ばす程度の爆発が起きる可能性がある。
 なぜ、同じように爆発した1・2号炉に比べて3号炉が危険なのかというと、使われていた燃料がプルサーマルだからで、これは固有の崩壊熱特性が、ウラン235燃料に比べて数桁も高いのである。
 つまり、冷却するのに時間がかかる。通常のプルサーマル使用済み核燃料が、再処理可能な常温=100度以下になるには500年かかるといわれている。
 
私が、東電の三号炉核燃料回収が不可能であると断言してきた理由は、この温度特性にあって、核燃料被覆管や収納容器の耐熱性は、1000度程度しかなく、事故から8年目の今年であっても、常時冷却しなければ、どんどん温度が上がって、収納容器を熱損傷するリスクが生じる。
 仮に取り出したとしても、ただちに冷却システムに移行しなければならないし、今は位置や形状さえ不明な段階で、「取り出せる」なんて自信は、妄想かホラ話以外のものではない。
 
 取り出すどころか、いつ不完全核爆発を起こすかわからないというのが真実である。
 何度も書いているように、核燃料の周辺で、不完全臨界がブスブスと続く状態で、中性子が照射される環境があるとすれば、時間が経てば経つほどに、プルトニウム240が増えて危険性が高まってゆくのである。
 
注:プルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を、通常の原子力発電所(軽水炉=サーマルリアクター)で利用することを「プルサーマル」といいます。これはプルトニウムとサーマルリアクターを組み合わせた造語。
 
フクイチのモックス燃料は01年2月26日搬入
知事、「当面mox燃料の装荷はあり得ない」と発言。01年3月29日
東電、5月の実施を断念。02年8月29日
 
従って3号炉で使っていたとすればヤミ運転か試験運転の名目でしか説明できない。通常運転であればMOX比率は3分の1だ。これを理由に上記福島第一原子力発電所で事故処理に携わっていた元技術者の報告に対する反論がでてくる可能性がある。更に表面的にはフクイチではプルサーマル運転はやっていないことになっているので反論どころかガセネタとしてスルーするかもしれない。
 
■ 私の見解
 
専門的知識はないが、TBS「報道1930:岐路に立つ日本の原発政策」のコメンテーターは信頼のおける専門家たちだし、福島第一原子力発電所で事故処理に携わっていた元技術者の報告に対する他の専門家の反論があるとしても、次の判断だけは間違いないと確信しております。
 
1.世界の脱原発の動きは、日本の政治家が喧伝する「再エネのコストは高く、原子力のほうが安い」と云うのは、時代遅れの判断で世界の趨勢は再エネのほうが圧倒的に安く、安定的であるとの判断だ。
 
2.日本の政治が未だに核燃サイクルにこだわっており原発神話を捨てきれないうちに、ビジネスのほうが再エネの優位性に気づき、そうしないと世界から置いてきぼりになるとの危機感から、政府・官僚主導から脱却してリーダーシップをとるようになる。
 
3.日本政府が核燃料サイクルとプルトニュームを捨てたがらないのは意識するしないにかかわらず、軍事優先の方向で平和を破壊するものである。
 
4.資本主義の歪が極端に増大し命、生活、経済を破壊するようになれば、次世代は「新社会主義」の方向に動くだろう。脱原発・環境を守る動きは止まらなくなる。政権構想にこの方向を取り込んだ政党が次の政権交代の主役になるだろう。
 
5.フクイチが「アンダーコントロール」と云う安倍首相の見解はあまりにも現実離れしており、統計不正と同じく、嘘と隠蔽、偽装、改ざんが世界に知れ渡り日本の信用が地に落ちれば、地殻変動は避けられない。
 
6.命を軽視する権力は経済で報復される。(再エネと貿易・金融などの政策ミスで一般の国民ばかりでなくビジネス界からも反乱が起きるとの警告をあえてしておく)
 

政治

Posted by 8kei