混沌から脱し光明を見出すための処方箋

今朝、1350万円のオレオレ詐欺のニュースが入ってきた。社会問題とし注意喚起が度々行われているにもかかわらず、何故簡単に引っかかってしまうのだろう。まずこの実例をご紹介します。

被害を受けたのはお年寄りの女性です。息子と称するものから電話がありどのように騙されたのかわからないが、とにかくお金を用意しておくように指示があり、その後若い女性がそのお金を取りに来たそうです。お年寄りは若い女性の人品人柄が良いのですっかり信用して、用意してあった1350万円を簡単に渡してしまったのです。

当然息子さんから受け取ったとった旨の連絡があるだろうと待っていたのですが、時間が経ってもなんの連絡もなく、不審に思ったお年寄りは息子さんに電話を入れたのです。そこではじめて詐欺に引っかかった事が判ったのだそうです。当然警察に連絡したのですが確認不足で殆ど証拠を掴んでいなかったのです。難航したのは確実でどうなったかは定かではありません。1350万は大金です、あってはならない事件です。

不況が進み世の中が不安定になってくるとこのような常識で考えられない異常事態が起こります。毎日のように起こる車の暴走事故、列車の人身事故、交通網の混乱、自然災害、近親者間の殺人事件等々。

事故ばかりでなく、政治的混乱や経済危機なども視野に入れておく必要があるのです。そこで今回のテーマは身を護る方途についてです。身を護るとはどういうことでしょう?

偶々、「身体システムとリハビリテーションの科学」と云う本を読んでいた最中の出来事だったのでその関連性に気付かされました。

主題は、脳内身体表現です。日常生活での運動(家事・身の回り)は殆ど意識もせず行っています。プロの運動も、従来はほとんど科学として分析もされず、経験的に試行錯誤の結果として維持向上が図られてきました。身体表現とは以上に述べたあらゆる身体の動きを解析し、それを科学的に解明することです。

身体システム科学は、医学、システム工学、脳科学を統合したもので、今まで個別バラバラに研究していた成果が統合によって飛躍的に発展したのです。

分かってきたことは、運動器と感覚器の相互連動は視床下部を経て大脳皮質、前頭葉・頭頂葉に及ぶネットワークを生起しているのです(運動企図と身体感覚の関係を含む)。

感覚>ニューロン>脊髄>ニューロン>視床>ニューロン>感覚野
………………………………………………………………………..∨
……………………..運動<ニューロン<脊髄<ニューロン<運動野

以上が感覚と運動の関連図だが、専門的な説明はできないので、わかりやすく私なりの理解を説明します。無意識で行われている日常生活での手足の動きでも、皮膚感覚が働かなければ自身の手足の位置関係すら認識できず、この認識がなければ手足を動かすことも出来ないのです。

皮膚感覚ばかりでなく、視覚・聴覚も関わり、視床下部から大脳皮質レベルまでネットワークとして関係し、このネットワークには、過去の数万の記憶と誤差修正の働きが加わるのです。

しかも関連図ではニューロンと一把一絡げに表現していますが、その情報伝達は電気信号によるニューロンの働きと、脊椎のニューロンはグリア細胞の化学反応(ナトリュームイオンの生成とその伝達)など複雑な構造があるのです。それには電気信号として把握でき、それによって脳のどの部分が活性化しているかがわかるのです。機能的磁気共鳴映像(f MRI)やオプトジェネティックス(光遺伝学)と呼ぶ手法による脳神経細胞の探索技術の進化によるところが大きいのです。

最近スポーツ選手の記録更新が目覚ましく、年を追うごとに新記録が出ていることは、身体システムとリハビリテーションの科学の進歩に負うところが大きいのです。すなはちスポーツやリハビリテーションの進化は身体システム科学の進化によってもたらされた結果なのです。

感覚と運動の関連に脳の働きが大きく関わっている事実から、身体システムとリハビリテーションの科学の一般化が人間のポテンシャル向上に資するもので、われわれの日常生活にも活用できると考えられるのです。

最初にご紹介した1350万円の詐欺事件も、我々の生活が余りにも単調で一色に染められ、漫然と生きていることから、「身を護る術(すべ)の劣化」を惹起しているものと考えられます。それにもかかわらず、世の中はますます混沌とし、複雑化してきている現状に対処していく必要に迫られています。

「自立と共生」は自己保存能力から出発するべきで、自分を大切に出来ない人間は他人を愛し他者と協調していくことは出来ないと私は考えております。そして、混沌から光明を見出すための処方箋は、複雑系の理解が必須条件であり、そのためには情報収集を惜しみなく続ける努力が必要です。

前回もご紹介した森田実氏の言葉を参照して結びたいと思います。「心安らかなる長寿」は儒教が目指した平和な世界の理想で、これが健康立国の真髄です。埼玉県の上田清司知事は全国知事会の会長に就任し「健康立国は地方から」と提唱されております。佐野市は健康立国の実践で大きな成果をあげております。医療費の節減が達成した具体的成果です。資本主義の歪は格差を生み、民主主義を破壊しております。森田実氏は、社会民主主義と修正資本主義をうまくミックスしていくこと、自由と平等の割合が2対1になるのが理想的だと云っておられます。

矛盾に満ちた今の政治と、近い将来確実に現れる経済恐慌に備えて、新自由主義によって失われた、政治経済学と哲学を復活させ、基本問題に拘っていくことが解決策ではないでしょうか。

社会

Posted by 8kei