経済

カルロス・ゴーンが危機的状況の日産自動車に赴任したとき、まず一番に行ったことは、現実を正確に把握することだったのです。このため現場に入り込み生の声をキャッチすることに努めたのです。最近のゴーンの行動についていろいろ批判はあるが、日産に乗り込んだ時の改革について当時は感動を覚え、今でも評価しています。

ところで、現在の日本の状況は当時の日産自動車と酷似しているのではないでしょうか。国際比較における日本の地位は急降下しているです。現実を見ないで現実から目を背ける悪弊は日本の社会全体に蔓延してしまっています。経済同友会の「茹でガエル日本」は見事にこの病弊を指摘しています。

■ 最近、日銀が内閣府の発表するGDPから離れて、独自のGDPを運用すると発表しました。政府の発表するGDPを元に政策を構築すれば自滅するしかないと云う危惧をもったのでしょう。いくら黒田総裁が政府と一体化しても、日銀自体が自滅すれば元も子もないと気付いたのでしょう。

MoneyVoiceの投資コンサルタントは次の通り怒っております。

「一連の統計不正は、役人が勝手にしでかしていることなのか。はたまた人事権を握られているがゆえに、妙な忖度が働いて、時の為政者にとって都合のいい数字を改ざん・ねつ造するのがひとつのプロセスマネジメントとして確立してしまっているからなのでしょうか?

この部分だけをとってみても、まともな仕組みにいっさい戻そうとしない安倍政権に、相当悪辣なものを感じる次第です。

平成が始まった頃はまだここまで酷いことはなかったのではないかと思いますが、我々が気づかなかっただけで、昔からこんな状態だったのでしょうか?いつの間にかこんな酷い国になってしまったことに、さすがに驚きを隠せない状況です。」

これではまるで、旧ソビエトのGDPが公表数値の半分程度しかなかったのを見習っているかのようです。

■ 以上のような経緯から、現実を直視するとどうなのかを調べてみました。大変参考になったのは、孫崎亨氏の情報でした。この貴重なデーターを拝借して下記します。

先ず、CIAのワールド・ファクトブックの「購買力平価ベースのGDP国際比較」です。購買力平価については後で説明するとして、ここではこの指標が各国のGDPの実力をもっとも正確に示すものだということだけを指摘しておきます。

中国:23兆ドル、アメリカ:19兆ドル、日本:5兆ドル。なんと中国はアメリカを追い抜き、日本は中国の4分の1以下に落ち込んでいるのです。

■ 国力の差はこれだけではありません。
            中国      アメリカ    日本
自動車生産台数    2780万台  1131万台  971万台

鉄鋼生産量       928246トン   86698トン   104328トン

5Gの特許件数    ファーウエイ   クアルコム+インテル
             1529件     1337件

5G競争で未来の主導権につながる特許件数でもファーウェイは他社を圧倒している。世界知的財産機構によると、昨年の5G関連特許出願件数はファーウェイが1529件で、ノキア(1397件)やサムスン電子(1296件)より多い。中国のファーウェイ、チャイナテレコム、ZTE、OPPOなどの5G特許件数(3400件)と韓国のサムスン、LGエレクトロニクスの特許数(2040件)を比較しても中国がはるかに多い。アメリカはクエルコム787件インテル550件(1337件)で中国の半数にもとどかない。日本は世界ランク10社の中に、わずかシャープ1社が入っているが現在シャープは台湾企業の傘下にあります。

■ 購買力平価ベースのGDP<物価水準の違いを考慮している購買力平価GDP>

各国の対ドルレートの代わりに購買力平価でもってドル換算したものが購買力平価GDPである。購買力平価は自国と相手国で取引されている様々な商品の交換比率を表している。例えば、日本で売られるハンバーガーが1個80円で米国が1ドルであれば、一物一価の法則(1つの物には1つの値段しか成立しない)の基では、両国でハンバーガーを取引する場合の交換比率(購買力平価)は1ドル=80円ということになる。

円の対ドルレートは、外国為替市場(銀行や証券会社のディーリングルーム)で取引される円とドルの需給で決まるが、日本の購買力平価は日米間の貿易取引が行われる品目の交換比率からもたらされる。

実際に日本のドルベースの名目GDPを計算してみると、2015年における日本の円ベースの名目GDPは500兆円であることから、これを2015年の対ドルレート1ドル=121.0441円でもって割ることにより、ドルベースの名目GDPの4.1兆ドル(500兆円÷121.0441円/ドル)を得ることができる。同様に、日本の購買力平価GDPは、2015年の日本の購買力平価である1ドル=103.331円(IMF作成)から、4.8兆ドル(500兆円÷103.331円/ドル)に換算することができる。

IMF発表の購買力平価ベースのGDP・国際比較

 

孫崎さんのデーターは、IMFのデーターとほぼ合致していました。

次回は再びMMTについて、日米のバックグランドの相違点と、自民党の「日本の未来を考える研究会」(MMT研究会)が目論むインフレ政策の問題点を取りあげます。