消費税増税のポイント還元とキャッシュレスの未来

「安倍政権は前回、14年4月に5%から8%に消費税を引き上げた際、景気が悪化したことがトラウマになっています。その轍を踏まないようにと、今回持ち出したのが中小店舗でキャッシュレス、つまり現金を用いない支払いをすれば、金額5%相当分のポイントが戻ってくるというもの。8%から10%への増税どころか、減税とさえ言えるような政策まで出してきたのです」(大和証券企業調査部日本株シニアストラテジストの高橋卓也氏)

なんと3000億円の大盤振る舞いだ。そこまでするなら、そもそも消費税を上げなければいいと思えるが—。
ただし、これは期限付きで消費前増税の2019年10月1日より2020年6月30日までの9ヶ月間。東京五輪までにキャッシュレスを定着させたいという思惑があるのだろう。しかし、オリンピックが終わったら急速に景気が悪くなるという観測が投資コンサルタントや経済評論家の多くから聞こえてくる。

キャッシュレスについてはわかっているようでわからない面があるので、QRコードとか各種キャッシュカードの知識が乏しく、これから消費税増税に伴って行なわれるポイント還元を目前に控えどのように対処したら良いのかを私自身の勉強を兼ねて書き残しておいた。

先ず、基本中の基本から

今回ポイント還元の対象になるキャッシュレス手段から
1.クレジットカード
VISAカード・Masterカード・JCBカードなど。カード使用から決済までタイムラグがあり引き落としは銀行等。店側は手数料がかかる。
カード取得には審査がある。利用者は安全確保のためパスワードや署名などが求められる。毎月の利用実績は郵送も可能だが年会費が必要となる。
2.キャッシュカード
プリペイドカードはチャージが必要でチャージした金額を限度として利用できる。原則として審査はない。
デビットカードは銀行口座やクレジットカードなどと紐付けられ、残高が一定以下になると自動的にチャージされる。当然のことながら紐付けられた元の残高が利用限度となる。 この2種のカードはほとんどの場合パスワード等の入力の手間はかからない。将来は非接触のICカードとなり益々利便性が増す。ただし店側の読み取り機の有無が問題となる。
3.QRコード、スマホ決済
Line Pay・PayPay・Origami Pay・楽天Payなど。スマホにそれぞれのアプリをインストールし利用の都度アプリを使ってQRコードを表示する必要がある。店側はスイッチングゲートウエイ等を利用すればそれぞれに対応する煩雑さは免れることができるが、消費者にとっては複数のアプリを操作することとなり、更に毎月の利用実績管理が難関となり、利便性は最悪。しかもコードを写しとるステップがあるため不正利用のリスクもある。

経産省の実施要項はやっと固まって現在関連業者の登録を受け付けている段階なので、詳細は下記のアドレスで確認していただきたい。
https://cashless.go.jp/assets/doc/kameiten_leaf.pdf
https://cashless.go.jp/

以上の基礎知識に基づき、当面の消費税対策とキャッシュレスの未来に向けての対策について解説する

消費税対策としては政府の対応が遅れており最近やっとまとまった段階でまだ不明の点が残されている(対象業者の審査の基準など)。従ってこの段階での消費者の対応はなるべく簡素で最低必要な範囲に留め、未来を展望した対策に重点を置いたほうがベターだ。

消費税対策のポイント還元については行政のやり方に根本的矛盾がある。それは売り手側の対象を小規模業者の場合「資本金または出資の総額が5000万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主」に絞っておきながら消費者側にはスマホ決済で一番手間のかかり将来性のないQRコード決済に誘導する。しかもクレジットカードやプリペイドカードなどの読み取り機をすでに備えている比較的中規模以上の業者を対象から外してしまったことだ。(中国のようにQRコードが統一化された状況と、乱立してしまった日本の現状ではその利便性は大きく異なってくる。従ってQRコード自体が悪いわけではないことはことわっておく)

消費者としてはスーパーマーケットや電気量販店など、購入金額が大きいか利用頻度が高い購入を対象としてもらいたいはずだが(それでなければ9ヶ月の購入額の5%が数万円程度にしかならない。消費税値上げの影響からするとごく僅かでしかない)、行政の対応は小規模小売を主たる対象に限定したため5%ポイントが絵に描いた餅となってしまっている。小規模業者を応援することは良いことには違いないが、それなら別の財源でやってもらいたい。しかも将来性のある「コンタクトレス決済」への道を閉ざしてしまった形となっている。

英国では非接触決済の一秒もかからないスピードと利便性に慣れた消費者は多くの生活の場面で非接触のプリペイドカードや非接触のデビットカードを使うようになり、急速にキャッシュレスが進んだ。

議論が不十分な日本の決済改革

英国、米国、オーストラリア、カナダなど諸外国の決済改革は、政策当局の明確なイニシャティブの下で、銀行・フィンテック・ユーザー(消費者・企業)を広く巻き込んだ議論を踏まえ、また新決済インフラを運営する新たなガバナンス主体を設置する形で展開されている。
くらべて、日本は政策としてキャッシュレスを掲げつつも、そのために不可欠であるはずの決済改革については充分に議論が進んでいるとは思われない。結果として、キャッシュレス手段は続々と登場するものの、本来の目的である、生産性の向上や顧客体験の向上には寄与しにくい状況が生まれている。

結果として3000億円は大判振る舞いどころか、真逆の「都合の良い宣伝文句」でしかなかったのかと思ってしまう。以上、消費税増税のポイント還元の実態をみると、政治がどちらを向いて仕事をしているのか益々疑問が深まってしまった。

社会

Posted by 8kei