時事

現在、大量の従業員を抱え苦境にたっている、航空、観光、小売り、娯楽、外食、自動車、電機・部品、アパレル業界は、数百万人から千万人レベルで従業員がいます。

日本のコロナ関連倒産はここ1週間で170社、年間の倒産件数はは1万社と予測されています。倒産は当然失業の増加につながるわけで、アメリカの二のまえにもなりかねません(米国の失業保険申請数ここ一週間で243万件、累計3800万件、失業率20%にも及ぶ)。

厚生労働省がハローワークなどを通じて新型コロナウイルスの影響による経営悪化を理由に解雇されたり雇い止めにあった人の数を調べたところ、今年1月末から5月21日までのおよそ4か月間に見込みも含めて全国で1万835人に上ったことがわかりました。

このような状況の中で、国は緊急事態宣言解除に進み首都圏も含み全国一斉解除に向かうことが決まったようです。果たしてこの動きを歓迎するべきなのでしょうか。

解除は新自粛つまり営業制限・行動制限を伴いしかもこれには補償は殆どない、大変都合のよいやり方です。自粛のために生じた金銭的補償を節減することが目的だと云われても仕方がないでしょう。もっとも、緊急事態宣言解除は自粛の解除だと解釈する市民が現れるリスクもあり、コロナ対策と経済活動とは両立しない事を実証する回り道になる恐れもあるのです。

何も考えないで「新自粛・ステイホーム」を強要している人たちは、もしかしたら影響を受けていない業種に就いている人、あるいは官公庁のお役人、あるいは自粛でも金銭的ダメージを受けない富裕層なのかもしれません。

被害を受けている人たちが「新自粛・ステイホーム」を鵜呑みにしていたら、自分で自分の首を絞めることになるということに気づかなければなりません。向こう1年も新自粛・ステイホームで生きていける企業や個人はないでしょう。政府も行政も給付金や補償を出し続けることはできないでしょう。

新自粛・ステイホームの強要は、困窮死という別の死者を爆発的に増やす施策なのだと云うことに気づかなければならず、自粛警察のように、ひたすら新自粛・ステイホームを強要するのは無責任で残酷な行為とも云えるでしょう。

厚生労働省発表の感染者数、死者数は検査数が依然として少ないのは、政策転換の指標としては問題ですが、地域的特性などによって減っているのは事実として認めざるをえません。

しかし季節的要因を折り込めばインフルエンザの流行期と重なる11月以降に第二波に襲われる可能性は否定できません。
他の自然災害との重複も警戒しなければなりません。関西福祉大・勝田吉彰教授(渡航医学)はソーシャル・ディスタンスは「少なくとも2年は続く」と指摘しています。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、国際オリンピック委員会(IOC)が来年に延期された東京大会について再延期はなく再延期なら中止となることを表明しました。
日本経済新聞電子版では五輪延期で6000億円超、五輪中止なら経済損失7.8兆円の見方を示しております。その後のインバウンドの影響を入れれば10兆円では済まないでしょう。


日経新聞は4日、「コロナ禍に舞うヘリマネ」と題する記事を掲載しました。これは各国の政府が国民に外出禁止などの行動規制を課す一方、経済の底割れを必死で食い止めようとしていると紹介しています。しかし、大規模な経済政策はのちに財政インフレを引き起こすと見られ、金融当局者の間では正常化にどのくらいの年月がかかるか議論され始めているということです。

もっとも、円高については別の見方もあります。一部のマーケット関係者の間では、構造改革が進まない日本に失望しての日本売り、すなわち日本株売り・債券売り・円売りのトリプル安を想定する人もいます。現に、3年4か月ぶりに物価上昇率がマイナスに転じ、輸出が前年比4~6月で21%に落ち込むなど円安要因が高まっています。そうなると、デフレスパイラルに陥り、もう日本はオリンピックどころの騒ぎではなくなります。


次に、日銀の営業毎旬報告(令和2年5月20日現在)が22日に発表されましたので、それから読み取れる経済対策を記したいと思います。

前回同様、新型コロナ対策スタートの2月10日と最新の5月20日の毎旬報告を比較しました。今回は主要費目の増減のみを表示しております。

まず、ヘリマネはありえないことです。財政法と日銀法で厳重に禁止されていること、法改正は関連する法体制が多く絡み簡単には出来ないこと、仮にこのハードルを突破したとしても他国の信用を失い円の信認が凋落すること(円安を招きデフレが深刻化する)、さらにコロナ以前の日銀の発行銀行券はわずか2.2兆円しか増加していないことなどがその理由です。

日銀はコロナ対策の重点を現金のバラマキは最小限にとどめ、資金の貸し出しの拡大に重点を移しているようです。貸付金勘定が+14.6兆、外国為替が+56.6兆となっております。バランスシートの合計が+51.4兆で、内容はともかく資産に計上できる勘定科目に逃げ込んでいるとみられます。

当座預金は+27.3兆円ですが国債は+7.1ですこのアンバランスについては前回述べた通り依然として謎です。
ただ5月20日の欄外の説明で新型コロナウイルスによる貸付金等で+13兆との記載がある事には注目しました。BS上の勘定科目の貸付金が+14.6兆円となっているのでその一部とみられます。

外国為替が+56.5兆円と異常に膨らんでいることに違和感を覚え前回述べた通り、ここに多くの疑問を解くカギがあるのではないかと思いました。

参考までにその注書きを記しておきます。
「外国為替」に計上しているのは、外国中央銀行、国際決済銀行等への預け金、外国政府等の発行する国債等、外国投資信託および外貨貸付金(米ドル資金供給オペレーションによる貸付金および貸出支援資金の運営として行う成長基盤強化を支援するための資金供給における米ドル資金供給に関する特則による貸付金等)である。

麻生副総理兼財務大臣と日銀の黒田総裁は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響が深刻化していることを受けて、22日会談し、異例の共同談話を発表しました。この会談からも日銀と財務省の政策が読み取れます。


財務省と官邸の間でコロナ対策を巡って軋轢が起きているとみられます。財務省は国税庁を傘下に置いております。国税庁は脱税の摘発の面で検察と密接な関係があります。両者の次官と官房長で定期的に情報交換を行う会議が開かれているようです。

この事は政治家にとっては一番怖いことです。おそらく官邸と云えども財務省には逆らえないのではないかと考えられます。最近の政権の混乱ぶりはこれと無関係ではないとみられます。

政治の動きについてコメントすることは得意ではありませんので、ヒントだけにしておきます。松原仁議員と高橋洋一氏(嘉悦大学教授、(株)政策工房会長、博士・政策研究  数量政策学者。財政・金融政策、年金数理、金融工学、統計学、会計、経済法、行政学、国際関係論、役人の時は大蔵省、経済財政諮問会議特命、総務大臣補佐官、総理大臣補佐官付参事官)の対談がYoutubeにあります。https://www.youtube.com/watch?v=wdtMk3ymdr4
いかにも生臭い内容です。私が下手なコメントをするよりこちらの方がはるかに参考になると思います。


最後に「アフターコロナの世界経済は元には戻らない」
玉木元財務官が説く「新たな経済」の必要性 東洋経済より引用 

未曾有の新型コロナ危機を経て世界の経済はどう変わるのか。「コロナ後」に向けて政府や企業はどう対処すべきか。財務省財務官や経済協力開発機構(OECD)事務次長を歴任し、現在は国際金融情報センター理事長を務める玉木林太郎氏に聞いた。

――過去の経済危機と比べて新型コロナ危機はどのような違いがありますか。

コロナのパンデミック(世界的流行)は公衆衛生上の危機として始まったが、これが経済のサプライサイド(供給側)のショックとなり、サプライチェーン(供給網)の寸断で供給と需要の接点が失われてしまった。もともと需要不足という状態ではなかったが、感染拡大抑制のための行動制限によって需要も急激に落ち込んだ。

2008年のリーマンショックのような金融システムの危機ではなく、当時の経験を頼りにできない。1929年からの世界恐慌の教訓も役に立たない、まったく別の顔を持った危機といえる。

このパンデミックが厄介なのは、世界の人々の間に危機がある限り、全員にとっての危機も終わらないということにある。世界のどこかで感染拡大が残っていれば、それが世界経済全体が危機を脱するうえでの制約になる。日本だけが影響を受けないということはありえない。パンデミックが終息するという事態をどう捉えるべきか、その判断は非常に難しい。(以下略 全文は東洋経済 https://toyokeizai.net/articles/-/352127 )

本日(5月24日)のNHKスペシャルをご視聴になられたかと思いますが「知の巨人が未来を予見」など、番組を通じてコロナ後の世界は「持続可能性」がキーワードとなると云うことでした。

たまたま、2018年9月の八景島ツイートのキャッチフレーズは sustainabirity&diversity でした(「このサイトについて」のページを参照)。持続性は多様性の産物とも言えますので、これは一体のものと考えております。多様性が消され画一的で個性を無視したやりかたが横行する今の社会で、垂直統合型から水平分業型に管理体制を変えていくことが重要だと思います。


次回は「新型コロナウイルスの正体を探る」と云うテーマで、抗体と免疫、治療薬やワクチンの開発状況、パンデミックの終息の見通しにもつながる情報をできる限り収集してお伝えしたいと考えております。

時事

下記左はIMF(国際通貨基金)の世界各国のGDP予測数値です。コロナ対策の影響を比較した右のグラフは米国の一人負けを予測しております。

なぜ米国がコロナ対策の影響を酷く受けるか?この原因を明らかにすることが日本の予測に直結します。
米国は対策が遅れた上に、ニューヨーク州がロックダウンを強力に実行しました。更に州ごとの政策のばらつきが目立ちます。日本の4月以降の特措法による緊急事態宣言から、5月の39県解除への動きは米国の政策に似た面があります。

世界の予測は対策を強化したり緩めたりを続ける中で、第2波第3波が訪れること、有効なワクチンが実用化できない限り長期化は避けられないこと、などが定説となっております。しかしながら先進国の多くは経済優先でコロナ対策を緩和の方向に向かっています。世界の動きに合わせたのか、安倍首相は「コロナ対策と経済対策の同時化」を主張しております。これはかなり都合の良い、いい加減な政策と云わざるを得ません。そしてこの見方はかなり甘いのではないかと危惧されます。

日本はこの時期に、緊急事態宣言を39県に対し解除しました。特定警戒都道府県8に対しては21日に解除か続行かを判断するとしています。このいずれの決定に関しても科学的な根拠のある数値の裏付けが無く恣意的な印象を強く受けます。

元々オリンピックを背景に、コロナ危機を裏付ける数値を隠す傾向がが日本には存在したのです。そのためかどうかは分かりませんが、感染者数をコントロールする必要が生じたことは当然の成り行きでした。

その後オリンピックの延期が決まり、PCR検査数が世界標準から異常に低く日本の数字は信用できないと云う批判が内外から続出すると、当局は一転して検査数を上げる姿勢を示し始めました。しかしこの言葉とは裏腹に実際の数値の上がり方は緩慢でした。目詰まりが問題になったのですが、意外にも複雑に絡み合う行政組織の中で緊急時への対応が体質的に難しいことが明らかになりました。この問題はその後の休業補償や定額支給、マスク配布などでも露呈しました。

東京都の小池知事は「自粛と経済活動の両立を図る」と発言しました。緊急事態宣言解除の際、安倍首相も同じような発言をしました。こんな都合の良いことが現実的に可能なのでしょうか?

ロックダウンと経済活動再開とは二律背反であることは何度も申してきました。うがった見方をすれば、「自粛と経済活動の両立を図る」と云うことは建前であり、本音は「自粛による制約から生ずる補償をこれ以上増やさないため、経済活動を許す」と云うことではないでしょうか?

お気づきと思いますがここでも数値をコントロールする必然性が出てくるのです。コントロールと云えば善意の意図も含まれるのですが、悪く言えば恣意的に歪曲すると云う事でしょう。

アベノミクスは成功したと云ってきた手前、今更財政負担が困難とは言えないしょう。例によって日銀の「営業毎旬報告」を調べてみました。コロナ前の2月10日と5月10日現在の主な数字を比較してみました。

主な項目     2月10日、5月10日、増減 (単位兆円)

(資産の部)
国債         487.8、493.3、+5.5
金銭信託(ETF)    28.6、31.4、+2.8
貸付金        48.6、55.0、+6.4
外国為替        6.7、30.6、+23.9

(負債の部)
発行銀行券      108.7、111.7、 +3.0
当座預金       390.8、406.3、+15.5
売現先勘定        0.1、18.8、+18.7

(貸借対照表合計)  579.9、619.7、+39.8

国債があまり増えていないのは、外国為替・売り現先勘定との関係があると思われます。
外国為替の注書きには次のように書かれています、「外国為替」に計上しているのは、外国中央銀行、国際決済銀行への預け金、外国政府等に発行する国債等、外貨投資信託および外貨貸付金(米ドル資金供給オペレーションによる貸付金および貸出支援基金の運営を成長基盤強化を支援するための資金供給における米ドル資金供給に関する特例による貸付金等)である。

別の注書きには国債を米ドル貸付金に関する担保として国債を充てると云うものがありましたので、国債があまり増えていない原因が何かあるのではないかと思いました。そして国債が増えていない理由に、反対勘定の売現先勘定が関係しているのではないかと云う疑問を持ちました。

発行銀行券が増額したのは最近では異例のことでした。いよいよ踏み切ったかと云う印象です。しかしそれにしては少額すぎます。マネーストックが増加するのは近年なかったことで、いよいよインフレ政策かなと思いました。それにしては少額すぎ、金利上昇を警戒しているのかもしれません。

日銀としては政府が対外的に一流国の体裁を保つ事に協力するため大変苦労している様子が見えてきます。更に、おカネの支出を抑え貸付金に重点を置いている実態をまざまざと見せられた感じです。日銀が国債の上限を外しETFの購入を大幅に増やすと公言したことは果たして本気なのか疑わざるを得ません。

政府の要求をすべて満たすことは到底不可能であること、黒田総裁のご苦労を察することにあまりがあります。これも身から出たサビでしょう。

最後に代表的エコノミストの2020年度の予測を掲載します。

みずほ証券チーフエコノミスト上野康也氏の経済予測(東洋経済)

Q. コロナの感染拡大が長引いた場合に、日本経済に起きる大きな変化、中長期的なリスクは?
感染防止策によるブレーキと景気刺激策によるアクセルのはざまで、つねに不安定な経済状況が続くことになる。消費性向は構造的に低下するだろう。オフィスビルの需給は大きく悪化する一方、IT関連のニーズは堅調になる。

Q. コロナ危機をきっかけに起きると思われる注目すべき日本社会の変化は?
すでに以前から起こっていることだが、従来の常識がますます変わっていくのではないか。テレワークの一層の普及、終業後の飲み会といった社内行事は 衰退する。構造不況的な業種での淘汰が加速していくとみている。

Q.直近の成長率予測は?
20年4~6月:マイナス18.9%、20年度通年:マイナス6.3%

日本経済は、基礎的生活必需支出によって成長した比率よりレジャーやインバウンドなどの不要不急の支出によって成長してきた比率の方が大きい。このことは、コロナ後の経済がどうなるかについて、新しい生活様式が元に戻らないことを示唆しています。「不要不急の需要」の復活は殆ど期待薄です。

「今は財政赤字のことを考えているときではない」というのは、通常は財政赤字のことを考えている人々、財政節度を心がけている人々だからこそ、言えることである。日頃からこうした姿勢に欠けている者たちには、かえって、ここぞというときに思い切った行動が取れないのである。これはある経済学者の発言でした。

次回は政権内の対立の表面化がコロナ対策と経済対策にどのように影響するかについて情報提供する予定です。

参考:
最近、米国のフォーリンアフェアーズ(FA)」がスウェーデンの集団免疫策を礼賛する論文を発表した。FA誌が集団免疫策を礼賛したのは、都市閉鎖策の長期化と愚策性、米国覇権を自滅させる特性に気づき、いまさらながらに世界のコロナ対策を集団免疫策に転換したがっているからでないか。(田中宇・国際ニュース解説)