社会

これは、「陰謀論の正体」田中徹著の読後感と、それに関連して新元号の解釈を述べたものです。
陰謀論が一概に悪いとは思いませんが、悪い陰謀論がこの世の中に大量にはびこっている現状は嘆かわしいと思います。

例えば良い陰謀論の例をあげれば、子宮頸がんワクチンの問題があります。子宮頸がんワクチンの投与による被害が明るみに出る以前に陰謀論はその危険性を指摘していたのです。陰謀論に押されてこれに関する検証が積極化したと言っても過言ではありません。

それでは陰謀論に良い陰謀論と悪い陰謀論があるとすれば、その違いはどこにあるのでしょうか?
一般的に科学ではまず仮説を立て、それを検証していくのが正しいプロセスです。科学と陰謀論の違いは仮説を立てる点では同じかもしれません。しかしその後のステップに決定的な違いがあるのです。

科学では検証段階で仮説が間違っていることが明らかになれば別の仮説を立てるか、間違ったことを率直に認め直ちに最初の仮説を取り下げるかのいずれかを選択するのです。
陰謀論にはこの誠実さが欠けています。仮説の証明に同類の論者の主張を取り込み自らの検証を避けて通る不誠実な態度(怠惰さ)があるのです。

従って、陰謀論は連鎖を生むのです。私は陰謀論で集まる集団の例を多く見てきました。同好会と言ったら失礼かもしれませんが、より多くの陰謀論を知っている「得意がりや」が存在しその周りに吸い寄せられるのです。
その上で自分も陰謀論者としてのステータスをあげて得意になろうと、いじらしい努力を重ねるのです。このようにして彼らの団結力は強固なものになっていきます。

ところがこの団結力は強くなればなるほど、社会の一般常識からかけ離れていき、グループの拡がりを欠く孤立した存在となるのです。

科学的態度で仮説を立てた場合、それが誤解を生み陰謀論と間違えられることがあるのです。私は、これを良い陰謀論(似て非なるもの)と呼んでいます。

以上をまとめれば、陰謀論かどうかの判別は簡単です。仮説と論証に誠実さがあるかどうかです。論証の努力を自らせず他に依存する態度が見えたらそれは陰謀論だとみて間違いないでしょう。

英語ではコンスピラシー(Conspiracy)が陰謀論にあたります。Conは一緒に、Spiracyは息を吸う、の意味です。つまり英語では陰謀=談合ということになります。

陰謀論の例をあげれば、ユダヤ、フリーメイソン、イルミナティー、人工地震、地震兵器、ケムトレイク、田布施システム等々数え切れないほど存在します。著者はこれを全面的に否定する立場をとってはいません。世の中が複雑化してくると、物事を単純化して見ようとする傾向が強くなること、単純化が効を奏することさえありえると云っています。つまり、見えない支配階級やグローバル支配体制と云う敵を可視化して見せる効果を否定できないというのです。

著者はこのように述べています「陰謀論は、物事の背後に、実は陰謀が隠されていると主張する、それを愚かだと批判する人たちは、陰謀論を分析してその背後にあるものは、実は社会不安からくるヒステリー現象ではないかと説く、これは両者は同じことをしているに過ぎない。
いずれも排他主義つまりラベリングをしているのだ。陰謀論を批判する言説の殆どが、ブーメランで返り打ちになってしまう理屈になっている。」

「陰謀論が描いてきた悪夢に、現実のほうがすっかり近づいてしまった。津波のようになって破壊を引き起こす巨大システムの暴走にあっては、誰かに責任を問うことは難しい。だが陰謀論は、システムの暴走の背後に意思を見る。誰かが悪をなしたと告発する。個々人の責任を問う。」
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著者は陰謀論の功罪を断定していない。複雑系の一部として捉えているのです。
「オオカミ少年が本当のことを言ったときは、狼に食われるときだ」と云った比喩的表現は陰謀論者を皮肉ったものでしょう。でもここに、なにか真実があるように感じました。

最後に新元号を巡る「陰謀論?」に触れておきます。

■  極右との馴染み:LITERA 2019.04.01 https://lite-ra.com
ここでは、「安倍晋三首相と菅義偉官房長官の「黒い陰謀」が見え隠れしている。」とし、 なお、「万葉集18巻の大伴家持の長歌から一部を採った「海行かば」は戦前に軍歌の歌詞として採用され、第2国歌とも言われたことを忘れてはならない」と報じている。

海行かば 水漬(みづ)く屍(かばね)
山行かば 草生(くさむ)す屍
大君の 辺(へ)にこそ死なめ
かへりみはせじ

■ 今回の元号発表と天皇の政治利用の動き:日刊ゲンダイ 2019.04.02
安倍官邸は4月1日から、新天皇即位の5月1日まで、大手メディアを使ってお祝いムードをどんどん強めていくつもりだという。10連休に突入すれば、国民は安倍政権の失政など簡単に忘れてしまうと考えているらしい。

安倍の「天皇政治利用」は他にもある。13年4月28日、「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」に天皇皇后を招待。式典終了間際、出席者から「天皇陛下万歳!」の声が上がり、安倍も一緒になって万歳三唱した。異常な雰囲気に天皇は硬い表情を浮かべたまま退席。後に不満げな表情で側近に「私はなぜこの式典に出ることになったのか」と漏らしたと報じられたほどだ。

もともと政府側の式典の事前説明の際、天皇は「その当時、沖縄の主権はまだ回復されていません」と事実上、出席を拒んでいた。それでも、式典に来る安倍支持の保守系勢力を喜ばせるため、天皇の出席を押し切ったとみられている。

要するに安倍は、米国のご機嫌取りや自身の支持者を喜ばせるために今上天皇を利用してきたわけだ。新天皇も徹底的に利用するに違いない。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。

「新元号発表についても、支持者の意向を最優先したように見えます。金融機関などのシステム改修が大変になってしまうため、なるべく早期に発表すべきとの指摘がありました。ところが、『退位当日に発表すべき』という保守系勢力の意思に押される形で、安倍首相は1カ月前というタイミングでの発表を決めたのです。狙いは、安倍首相の支持層への求心力維持と、自らを権威付けるためでしょう。今後も自分の利益のために皇室を政治利用するのではないか」 あまりにも「不敬」だ。
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以上の少数意見を陰謀論として片付けてしまって良いのだろうか、私も迷うところです。

しかし、折角陰謀論の是非について勉強してきたので、もう一歩進めて陰謀論的に展開すれば「安倍首相は2枚舌をうまく行使したのだろう(もちろん周辺の知恵を借りて)、つまり国民に向かっては万葉集的な平和主義を説き、極右の支持基盤に対しては国語辞典の解釈 ”上からの命令に対しては和して反抗しない” 正に特攻隊のプリンシプルを掲げたのではないか?」

多様化した現代社会においては多様な見解を同時並行に見ていくことが大切ではないかと言うことを結語とさせていただきます。

次回は、ブロックチェーンと金融経済について投稿したいと考えております。
但し、4月8日に村上誠一郎 自民党衆院議員と望月衣塑子 東京新聞記者とのトークショーに参加しますので、その報告を先に投稿するかもしれません。

社会

今朝、1350万円のオレオレ詐欺のニュースが入ってきた。社会問題とし注意喚起が度々行われているにもかかわらず、何故簡単に引っかかってしまうのだろう。まずこの実例をご紹介します。

被害を受けたのはお年寄りの女性です。息子と称するものから電話がありどのように騙されたのかわからないが、とにかくお金を用意しておくように指示があり、その後若い女性がそのお金を取りに来たそうです。お年寄りは若い女性の人品人柄が良いのですっかり信用して、用意してあった1350万円を簡単に渡してしまったのです。

当然息子さんから受け取ったとった旨の連絡があるだろうと待っていたのですが、時間が経ってもなんの連絡もなく、不審に思ったお年寄りは息子さんに電話を入れたのです。そこではじめて詐欺に引っかかった事が判ったのだそうです。当然警察に連絡したのですが確認不足で殆ど証拠を掴んでいなかったのです。難航したのは確実でどうなったかは定かではありません。1350万は大金です、あってはならない事件です。

不況が進み世の中が不安定になってくるとこのような常識で考えられない異常事態が起こります。毎日のように起こる車の暴走事故、列車の人身事故、交通網の混乱、自然災害、近親者間の殺人事件等々。

事故ばかりでなく、政治的混乱や経済危機なども視野に入れておく必要があるのです。そこで今回のテーマは身を護る方途についてです。身を護るとはどういうことでしょう?

偶々、「身体システムとリハビリテーションの科学」と云う本を読んでいた最中の出来事だったのでその関連性に気付かされました。

主題は、脳内身体表現です。日常生活での運動(家事・身の回り)は殆ど意識もせず行っています。プロの運動も、従来はほとんど科学として分析もされず、経験的に試行錯誤の結果として維持向上が図られてきました。身体表現とは以上に述べたあらゆる身体の動きを解析し、それを科学的に解明することです。

身体システム科学は、医学、システム工学、脳科学を統合したもので、今まで個別バラバラに研究していた成果が統合によって飛躍的に発展したのです。

分かってきたことは、運動器と感覚器の相互連動は視床下部を経て大脳皮質、前頭葉・頭頂葉に及ぶネットワークを生起しているのです(運動企図と身体感覚の関係を含む)。

感覚>ニューロン>脊髄>ニューロン>視床>ニューロン>感覚野
………………………………………………………………………..∨
……………………..運動<ニューロン<脊髄<ニューロン<運動野

以上が感覚と運動の関連図だが、専門的な説明はできないので、わかりやすく私なりの理解を説明します。無意識で行われている日常生活での手足の動きでも、皮膚感覚が働かなければ自身の手足の位置関係すら認識できず、この認識がなければ手足を動かすことも出来ないのです。

皮膚感覚ばかりでなく、視覚・聴覚も関わり、視床下部から大脳皮質レベルまでネットワークとして関係し、このネットワークには、過去の数万の記憶と誤差修正の働きが加わるのです。

しかも関連図ではニューロンと一把一絡げに表現していますが、その情報伝達は電気信号によるニューロンの働きと、脊椎のニューロンはグリア細胞の化学反応(ナトリュームイオンの生成とその伝達)など複雑な構造があるのです。それには電気信号として把握でき、それによって脳のどの部分が活性化しているかがわかるのです。機能的磁気共鳴映像(f MRI)やオプトジェネティックス(光遺伝学)と呼ぶ手法による脳神経細胞の探索技術の進化によるところが大きいのです。

最近スポーツ選手の記録更新が目覚ましく、年を追うごとに新記録が出ていることは、身体システムとリハビリテーションの科学の進歩に負うところが大きいのです。すなはちスポーツやリハビリテーションの進化は身体システム科学の進化によってもたらされた結果なのです。

感覚と運動の関連に脳の働きが大きく関わっている事実から、身体システムとリハビリテーションの科学の一般化が人間のポテンシャル向上に資するもので、われわれの日常生活にも活用できると考えられるのです。

最初にご紹介した1350万円の詐欺事件も、我々の生活が余りにも単調で一色に染められ、漫然と生きていることから、「身を護る術(すべ)の劣化」を惹起しているものと考えられます。それにもかかわらず、世の中はますます混沌とし、複雑化してきている現状に対処していく必要に迫られています。

「自立と共生」は自己保存能力から出発するべきで、自分を大切に出来ない人間は他人を愛し他者と協調していくことは出来ないと私は考えております。そして、混沌から光明を見出すための処方箋は、複雑系の理解が必須条件であり、そのためには情報収集を惜しみなく続ける努力が必要です。

前回もご紹介した森田実氏の言葉を参照して結びたいと思います。「心安らかなる長寿」は儒教が目指した平和な世界の理想で、これが健康立国の真髄です。埼玉県の上田清司知事は全国知事会の会長に就任し「健康立国は地方から」と提唱されております。佐野市は健康立国の実践で大きな成果をあげております。医療費の節減が達成した具体的成果です。資本主義の歪は格差を生み、民主主義を破壊しております。森田実氏は、社会民主主義と修正資本主義をうまくミックスしていくこと、自由と平等の割合が2対1になるのが理想的だと云っておられます。

矛盾に満ちた今の政治と、近い将来確実に現れる経済恐慌に備えて、新自由主義によって失われた、政治経済学と哲学を復活させ、基本問題に拘っていくことが解決策ではないでしょうか。