社会

アマゾンの森林火災

日本のマスコミはアマゾンの森林火災は焼畑農業が原因とした報道に終始している。「根本的原因を追求していないのは何故だろう」と疑問をもった。

2019年 8月21日 AFP
ブラジル北部にあるアマゾン(Amazon)の森林破壊をめぐりジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領に対する批判が高まるなか、ブラジル国立宇宙研究所(INPE)は19日、今年1月から8月の森林火災件数が急増したと発表した。
2019年9月2日 ニューズウィーク
実のところ、大西洋に面した南部の街サンパウロの空が黒く染まる何週間も前から、ブラジル北部のアマゾン流域では森林火災が頻発していた。ロンドニア州では今年1月から8月までに、森林火災が190%も増加。ブラジル国立宇宙研究所(INPE)によると、ブラジル全体では今年に入り7万2000件以上の火災が起きた。これは昨年の同時期よりも84%も多い。

海外の報道から

海外の報道から、これはブラジルの政変が影響していると考えざるを得なかった。先ず、アマゾンで起こっている環境破壊の実態を示し、その後でブラジルの政変と「ブラジルのトランプ」を自称する極右政党のジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領についてどんな人物かを明かしたい。

■ アマゾンで起こっている環境破壊の実態

1970年代からこれまでに、アマゾンの熱帯雨林の面積は伐採によって約20パーセント減少した。これはカリフォルニア州の2倍の広さに等しい。

アマゾンで行われている熱帯雨林の破壊は、組織的でとどまるところを知らない。火災では燃焼の過程で二酸化炭素(CO2)が生じるだけでなく、森林が失われればそこに溜め込まれていたCO2が大気中に放出される。そしてアマゾンの場合、熱帯雨林が失われれば、火災が起きていないときでも地域全体で見て温室効果ガスの排出源になってしまう可能性がある。

これらの開発行為・破壊行為によってアマゾンは、もとの面積の15%を既に失ったといわれます。観測衛星を使った「アマゾン森林伐採衛星監視プロジェクト」を実施するブラジル国立宇宙研究所の報告によれば、1988年に観測が始まって以降のブラジルのアマゾン森林累計消失面積は、日本の国土面積の1.1倍に相当する42万㎢、消失率は8.4%に達した(〜2018年)

アマゾンは世界最大の熱帯雨林で、大気中の酸素の約20%を供給し、地球温暖化の防止に不可欠な存在と考えられている。

ブラジル国立宇宙研究所(INPE)によると、7月に伐採されたアマゾンの森林は前年同月比で3.8倍の約2255平方キロメートルと、東京都の面積を上回る。1~7月の累計でも前年同期比約7割増となっている。

ブラジル・アマゾンの熱帯雨林が今年に入り、記録的なペースで焼失している。ブラジル国立宇宙研究所(INPE)の人工衛星データによると、森林火災の発生件数が過去最高に達し、2018年の同時期と比べて83%増加している。

最大都市サンパウロでは19日、森林火災の黒煙によって街全体が1時間程度、暗くなる被害があった。この煙は、サンパウロから2700キロ以上離れた北西部アマゾナス州やロンドニア州の森林火災で発生し、強風で運ばれてきたものだという。

INPEによると、今年1~8月の間に7万2000件以上の森林火災があり、観測の始まった2013年以降で最多となった。アマゾン地域では8月15日以降だけで9500件以上が発生している。

人工衛星映像では、北部ロライマ州が黒煙に覆われている。また、アマゾナス州では森林火災を受けて非常事態宣言が発令された。

ブラジルでは乾季に森林火災が起きやすいが、森林を焼いて家畜の放牧地を違法に作るため、人為的に起こされている部分もある。

面積は約550万平方kmとアマゾン盆地(約700万平方km)の大部分を占め、地球上の熱帯雨林の半分に相当する。省略してアマゾンとも呼ばれる。7カ国が含まれ、60%はブラジルにある。

生物多様性に富み、ブラジル政府は専門の研究機関である国立アマゾン研究所(INPA)を設置している。

植物はエネルギーを得るために二酸化炭素を利用して光合成を行い、炭素を固定するとともに酸素を放出、あるいは呼吸によって酸素を消費しているが、アマゾンは二酸化炭素を吸い込んでいる(炭素固定している)量がとても多いため「地球の肺(lungs of the Earth)」とも呼ばれる。

アマゾン熱帯雨林はまっすぐに伸びた豊富な樹種が林立しているにもかかわらず、林床部が貧弱である特異な特色を持つ。 哺乳類としてはオポッサム、ナマケモノ、アルマジロ、ホエザル、クモザル、マーモセット、タマリン、カピバラ、パカ、アグーチ、キノボリネズミ、キンカジュー、オリンゴ、チスイコウモリ、シロコウモリ、マナティー、カワイルカ、ジャガー、オセロット、バク、ペッカリー、マザマジカなど変化に富んだ多数の種類が生息している。ただし、他地域に比べると大型哺乳類の種類も個体数も少ないという特色がある。

インコ
アマゾンインコ

鳥類はさらに多く、オウム、ハチドリ、オオハシ、ホウカンチョウなどを代表として鮮やかな色彩の羽毛を持つ種が多数見られる。爬虫類はカイマンやアナコンダが一般に知られているが、個体数としてはカワガメが最も多い。魚類はピラニア、デンキウナギ、ピラルクなどが良く知られているほか、500種を超えるナマズ目が生息している。

昆虫は現在でも新種が次々と発見される状況にあるほど豊富である

ブラジルではここ数日、複数の都市の空が厚い煙で覆われ、民間の航空便が迂回(うかい)を余儀なくされる事態も発生した。

生態学者アドリアーネ・ミュールバート氏とトマス・ラブジョイ氏(両氏はアマゾンの森林破壊が気候変動に果たす役割を研究してきた)の警告を紹介する。

今後も森林の伐採や管理ミスが続けば、今回のような火災が続く可能性があるとラブジョイ氏とミュールバート氏は警告する。これほど大規模に森林が失われれば、地球規模の影響が出る恐れがある。

 アマゾンの保護は、地球温暖化を緩和する重要な方法の一つによく数えられている。毎年、膨大な量の炭素を吸収しているその森林を伐採したり焼いたりすれば、蓄えていた炭素が放出されるだけでなく、炭素を吸収する1つの手段も失われる。

「あらゆる森林破壊は、生物多様性とその恩恵を受ける人類への脅威なのです」とラブジョイ氏は話す。「圧倒的な脅威は、大量の炭素が大気中に解き放たれることです」と同氏は付け加える。

 8月の森林火災により放出された炭素量を計算するのは、時期尚早だとミュールバート氏は言う。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は今月発表した報告で、気候変動による最悪の影響を回避したいならば、世界には、余剰の森林など存在しない、と述べた。

「悲劇です」と今回の森林火災とその背後にある森林伐採のことをミュールバート氏は語る。「地球に対する犯罪であり、人類に対する犯罪なのです」

■ ジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領の人物像と環境破壊の実態

「ブラジルのトランプ」。そう呼ばれる右翼政治家が、いま世界の注目を集めている。下院議員のジャイル・ボルソナーロ(63)
ボルソナロがアマゾンの環境保護という点において「危険人物」だとされているのは、大統領にとって環境保護は優先すべき政策ではないと主張しているからだ。また、ボルソナロ大統領はアメリカのドナルド・トランプ大統領を崇拝しており、トランプ大統領が環境汚染による気候変動を否定していることから、ボルソナロ大統領も同様の考えを抱いている。

2019年1月に発足した新政権はアマゾンにおけるアグリビジネスの推進を重要政策のひとつにあげており、ポピュリズムで政権の座についたとされている。

アマゾンの森林の3分の2以上はブラジルにある。環境保護団体は、同国で今年1月に就任した右派ボルソナーロ大統領の政策が森林破壊に影響しているとの見方を示す。政権発足から4月まで森林の状況に目立った変化はなかったものの、5月から急激に破壊が進み始めたという。

ボルソナーロ氏は大統領選で、ブラジル経済の回復に向け、アマゾンの開発を進めるとの公約を掲げた。同国の環境NGO連絡会、オブセルバトリオ・ド・クリマ(気候監視団)のカルロス・リットル事務局長は、ボルソナーロ政権がこの公約通りに環境規制を解除し、監視体制を緩めていると指摘する。これに乗じて森林の伐採や農地の拡大、鉱物の採掘などが加速しているという。

国際環境NGOのグリーンピースは、ボルソナーロ政権を「気候バランスへの脅威」と呼ぶ。その影響でブラジルは環境政策や対外イメージが大きく後退し、長期的にみると大きな経済的代償を払うことになると警告している。

フランスのマクロン大統領とドイツのメルケル首相はともにブラジルの環境破壊に懸念を示すが、具体的な対応には結びつかず、ボルソナーロ氏の政策を事実上容認してきた。

アマゾン開発の目的は、木材の採集から始まって、農耕牧畜による肉と大豆の生産を増やすことにある。また、埋蔵している自然資源ボーキサイト、金、鉄、マグネシウム、ニッケル、リン酸、錫、ウラニウム、石油、希少ミネラルといった資源の開発も有望視されている。さらに水力そして原子力発電の建設もテーマとしてある。ボルソナロ大統領はこれらの開発のどれかを、今回安倍首相に提案しようとしている。西側の政権も資源外交と経済開発の将来を考え、ボルソナロ大統領への批判を寸止めしている感がある。

■ ブラジルで起きていることは、日本にとっても他人事ではない。地球温暖化による異常気象の増大はもちろんのこと、規模の差こそあれ我が国にも同様な問題が起こっていることを忘れてはいけない。

過去の投稿で「美しい国美しい国が売られる」~~森・水・海・農・健康 があった。

https://youtu.be/Z1PWsxTm-BM

国有林管理法改正で森林を民営化する法律が成立している。林野庁は予算不足で赤字化している、多分これを補うために決められたのではないか。

社会

首都直下地震が発生した時、首都圏ブラックアウトは起きるのか?内閣府の想定では、電力の供給能力は5割程度に低下し、広域で停電が発生するとされている。地震から生き延びた人たちは、大停電によってどのような危機に見舞われるのか?大停電に備えるためにはどうすればよいのか?シミュレーションドラマを交え、その時への備えを考える。(9月1日NHKスペシャル)

■ 平成30年北海道胆振東部地震による 大規模停電の経験が被害を低減するのに役立つので、あらためて北海道電力のホームページ「ほくでん」の記事をご紹介します。

当社(ほくでん)は、住友電気工業(株)と共同で、経済産業省が一般社団法人新エネルギー導入促進協議会を通じて募集した「平成24年度大型蓄電システム緊急実証事業」に応募し、補助事業として採択されました。

本事業では、基幹系統の変電所に大型蓄電池(レドックスフロー電池)を設置し、再生可能エネルギーの出力変動に対する新たな調整力としての性能実証および最適な制御技術を確立することを目的として、2019年1月まで実証試験を行いました。

当社は、南早来変電所に大型蓄電池(レドックスフロー電池)用の建屋(2階建て)を建設し、1階には 電解液タンク、電力変換装置(PCS)、2階にはセルスタック、冷却を行うための熱交換器などを設置しました。
建屋の設置面積は約5,000m2で、小中学校の体育館の4倍程度に相当します。

定格出力:15,000kW
蓄電容量:60,000kWh

詳細は「ほくでん」ホームページ
https://www.hepco.co.jp/energy/recyclable_energy/large_accumulator/index.html

■ ドイツでは折角太陽光発電のコストを大巾に下げたものの、再生可能エネルギーの発電量の変動による不安定性を解決するに至らず、電気料金の低減に貢献できておりません。

以前、ドイツの電気料金は安いという記事を書いた記憶がありますが、これは将来の予測値であり現実には、2017年のデーターで一般家庭で1kWhあたり38円と世界でも高い方にランクされているのです。

太陽光発電のコストが最新の設備償却の条件下では、1kWhあたり6円になっているのは事実ですし、再エネ比率がピークで80%にもなっているにも拘らず、電気料金が高止まりしているのは何故でしょうか?訳を探ってみました。

ドイツの余剰電力の買取制度と賦課金の高騰(再エネ発電の不安定を補うため欧州の他国から電力を買い入れていることなどの負担が大きい)が原因のようです。

この辺りの事情は、みずほ銀行産業調査部のレポートに説明されています。ドイツのクラウドコミュニティーモデルの説明は参考になると思います。

配電線の負担は賦課金の中に含まれるのではっきりしたことは分かりませんが、言えることは賦課金を低減する手段は一にも二にも蓄電設備にあると言って間違いありません。

■ また別の情報では次のように説明されています。

「ドイツでは再生エネ普及に伴い電気料金が高騰し、2000年から倍以上になった。生産者から再生エネを買い取る費用をまかなうため、電気料金に上乗せする賦課金の急増が主要因。来年は賦課金が若干減るが、デンマークと並び欧州で最も高い電気料金の状況は変わらない。 一方で電気料金に含まれる送電費も徐々に増大。再生可能エネルギーに対応した送電網の整備のため、一段の上昇も懸念される。」

「年間3,500kWh を消費する3人家族の電力価格は1998年のレベルを68%上回ります。この理由の1つには、再エネ賦課金が実施期間中に10倍以上上昇し、電力価格に占める割合が1%から24%に増えたことがあります。再エネ賦課金は卸売価格とそれより高いグリーンエネルギー固定価格(法令により再エネ発電事業者に保証されている)との差額です。系統運営者はこの差額を需要家に転嫁します。大口の法人需要家とは対照的に、一般家庭はすべての賦課金と税金を支払わなければならなりません。」

一方、日本政府の経済諮問委員会の報告書では、エネルギー転換について「計画経済のような手段では費用がかさみ、非効率だと証明された」と指摘。いかなる形であれ、今後その対応が重要な課題となるようです。

■ 以上を統合すると「首都圏の大停電が想定できないほどの人的・経済的被害をもたらす」この問題に対処するためにも、再エネ賦課金の上昇原因を断つためにも、再エネ化の最大のネックである発電量の不安定性を補う役割を受け持つ配電網の効率化と大容量蓄電技術がますます求められています。

国際的にもレドックスフロー電池の需要は益々増えていくでしょう。再生可能エネルギーがベースロード電源の地位を獲得する時代は遠からずくるものと信じております。

(以前の投稿で「マイクログリッド」に関する記事がありますので参考にしてください)