時事

天に向かって唾を吐いても空を汚すことなど出来ず、吐いた唾が自分の顔にふりかかってくることから、『四十二章経』に「悪人の賢者を害するは、猶し天を仰いで而も唾せんに、唾、天を汚さずして、還って己が身を汚し、風に逆らって人に塵くに、塵、彼を汚さずして、かえって身に塵するがごとし」とあるのに基づく。

この種の言葉は多く見られ、 因果応報とは、原因に応じた結果が報いる ということ、 自業自得とは、自分の行い(業)の結果を自分が受けなければならない・・自得と言うことです。こちらは仏教用語です。

現代語として一般的に用いられる同意語としては「ブーメラン現象」が挙げられるが、若者の間では「ブーメラン」の表現が用いられ、SNSである主張をして、それに対して炎上した場合など「ブーメランだ」と云った使い方をするらしい。

世の中が複雑になってくると「ブーメラン」の恐れが各所に現れてくるので要注意である。

■ 日本経済新聞は先週から次のように報じている

日本政府は7月4日、外為法上の輸出管理対象となっていたフッ化ポリイミドとレジスト、フッ化水素について、韓国への輸出規制を強化する手続きを開始した。

対韓国輸出を包括的許可から契約ごとの個別審査に切り替えると同時に、韓国をホワイト国から外す手続きに入るという。これに反発した韓国は、本件をWTO(世界貿易機関)の紛争解決手続に付託する方針だ。

このニュースの後、次のようにブーメラン現象を報じた

韓国企業は半導体で高いシェアを持ち、半導体売上高はサムスンが世界で首位、SKが3位だ。データを保存するメモリー半導体に強く、DRAMは韓国勢が世界シェアの7割、NAND型フラッシュメモリーは5割を握る。スマートフォンやテレビ、パソコンなど幅広い電子機器に搭載されている。

ある日本の電機大手は「韓国からメモリーなどの供給が滞ってアップルのiPhoneの生産が減れば、自社の部品供給にも影響する可能性がある」としている。(半導体の減産による値上げの動きは世界のサプライチェーンに影響を与え、驚異となっている)

更に韓国政府関係者は11日、「ロシアが最近、外交チャンネルを通じて自国製のフッ化水素を韓国企業に供給できるという意思を政府側に伝えてきた。韓国政府も日本がフッ化水素の供給を一時中断した昨年11月以降、日本製の輸入を代替するルートを探してきた」と話した。

今月10日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領主宰で行われた経済界の主要関係者との懇談会でも、ロシア製フッ化水素の輸入問題が言及された。輸入先の多角化対策が論議されている中、キム・ヨンジュ韓国貿易協会長が「ロシア政府が駐ロシア韓国大使館を通じて、『フッ化水素の生産においては、ロシアが日本よりも優れた技術を保有している。日本製より純度の高いロシア産フッ化水素をサムスンに供給する用意がある』と伝えてきた」と述べた。

ウォールストリート・ジャーナルなどが、今回の日本政府の対応は、安全保障を口実にした通商制限であり、トランプ流への追随と評しているが、こうした見方の広がりが強く懸念される。

■ 次はブーメランと云うより「因果応報」の事例だ。

日銀による株式(ETFなど)の大量購入は中央銀行が主導して株バブルを作り出すことを意味する。しかしそれは中央銀行の機能を麻痺させ、株式市場を歪めている。

株式市場は実体経済から乖離し、しかも官製相場によって市場の動きが見透かされ、外資系ファンドの格好の餌食となった。相場が下がれば日銀が買い支えるので売り抜けられ、空売りを仕掛け確実な儲けを得ることが出来る。東証の空売り比率は19年1月で4割弱を占めている。

現代の株取引はAIを駆使したCATと云う「さや抜きファンド」の取引が急増し、超高速取引によって上昇傾向があるときはより早く買い、下降傾向にあるときはより早く売り抜けるのだ。官製相場はまるでインサイダー取引を誘導しているようなものだ。

こうしたファンドが株式市場・金融市場を支配しており、株価はより近視眼的動きを強めている。日銀はこのような環境の中で、ETFなど金銭信託のリスク資産を売却することすら困難となり、出口を完全に失っている。もう一度云っておくが、「因果応報」とは仏教用語で、「原因に応じた結果が報いる」ということだ。

時事

アメリカ商務省は5月17日、中国の通信機器大手ファ-ウエイ(華為技術)を、輸出管理規則に基づく禁輸措置対象リスト(エンティティー・リスト)に正式に入れたことを発表した。

掲載対象は中国深センのファーウェイ本社、日本法人・華為技術日本を含む世界各国の69社。今後は対象法人に対して、アメリカ政府の許可なくアメリカ企業から部品・技術などを輸出できない。過去の事例を踏まえると基本的に許可が出ることはなく、厳格な禁輸措置として運用される見通し。

ただ、CPUもメモリーもアメリカ以外から調達できるので、実質一番困るのはソフトウェア、特にGoogleのソフトウェア群となります。

スマートフォンのOSであるAndroid自身はオープンソースなので、使い続けることは今後もできます。しかし、その上に載っているGoogle製のソフトウェアは今後ファーウェイのスマホで利用禁止になる可能性は否定できません。

アプリ配信ストア「グーグルプレイ」やグーグル製の地図、メールソフトは有償のライセンス供与の形をとっているので、グーグルがこうした基幹ソフトの供給を止める可能性があります。

ファーウェイのアンドロイド版スマホの次のバージョンも「Google Play ストア」や「Gmail」などの主要サービスにアクセスができなくなる可能性もあります。

しかしAndroid自身はオープンソースなので、代替ソフトの開発は難しくはありません。現にファーウエイの日本現地法人(Huawei Technologies Japan)は必要なアプリは用意して日本のユーザーに迷惑をかけることはないと発表しております。

加えて、アメリカの国内行政制度が海外諸国に効力を持つことは、本来であれば、国際法上の問題があります。

中国の王毅外相は「米国は国家の力でファーウエイのような中国の民営企業を理由もなく圧迫しており、経済的ないじめ行為だ」と批判しております。米中通商貿易交渉でどうなるか見守る必要があるでしょう。

■ 更にファーウェイに対するパナソニックの製品供給にも注目しておかなければなりません。

5月23日、日本の主要メディアは一斉にパナソニックがファーウェイとの取引を中止するとの報道を行いました。

日経新聞は、「米国政府による華為技術(ファーウェイ)に対する事実上の輸出禁止規制を巡り、パナソニックは22日までに該当する取引の中止を決めた」と報道しています。

ところが、パナソニックの中国現地法人、松下電器中国は23日、「ファーウェイに対するパナソニックの製品供給は正常だ。ファーウェイは重要な協力相手であり、同社など中国の顧客への商品販売とサービス提供を続ける」との声明を発表しているのです。

IWJが、中国通のエコノミストの田代秀敏氏に直接取材を行いました。田代氏は、まず、現在の日本のメディアの報道状況について次のように述べました。

「日本の報道では社内文書を見た記者が記事を書いているだけで、実はまだ日本のパナソニックとしては公式に何も発表していない。唯一パナソニックが出している公式文書は、中国現地法人が出している声明だけなのです。それを見る限り、現時点でもパナソニックはファーウェイに製品供給を正常に行っています」と。

いずれにしても、ファーウエイの取引先は「本音と建前」を使い分けていくしかなく、この問題に関してはマスコミの報道を鵜呑みにしていては実態を見過ごすことになるでしょう。

■ 次に、Bloomberg 2019年5月22日 の社説をご紹介しておきます。

トランプ大統領のファーウェイ攻撃、単なるお粗末な計算ミス-社説

大統領はすでに、その一貫性のない貿易政策を進めてきた中で国家安全保障をあまりにも多く持ち出している。ファーウェイ問題で再びそうすれば見るに堪えない前例をまた作ることになり、しっぺ返しを食らうのはほぼ間違いない。現状の手詰まりがさらに悪化し、中国には最終的な合意を守るインセンティブがほとんどなくなる。

結果として、国内で先端技術を生産できるようにしようと、中国が取り組みを加速させるだけだろう。

■ 他にも中国の反応を伝えた情報がありますが、報復の方策について次のように伝えられています。

希土類(レアアース)は、ハイテク製品や軍事装備の製造時に不可欠な材料で、世界の供給の9割を中国が握っている。米国は、希土類の戦略備蓄や独自開発が(未必の故意的に)非常に遅れており、中国の希土類がないと、中国と戦うための米軍の兵器が作れない状態だ。中国が報復手段として希土類(レアアース)の米国向けの禁輸すると云うことも十分考えられる。

更に、中国では米国製品の不買運動が起きている。中国の大企業の中には、社員に対して、ケンタッキーやマクドナルドやP&Gやアップルといった米国製品を買うなと命じるところが出てきている。少し前まで、中国人は米国製品へのあこがれが強かったが、それが喪失していく傾向だ。中国での売り上げ不振は米国企業の赤字化につながり、米国株を押し下げ、金融危機に近づける。

■ 朝日デジタル5月23日

「中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への輸出制限をめぐり、トランプ米大統領は23日、今後の米中通商協議で取引材料に使う考えを示唆した。中国の航空会社13社は、苦境に立つ米航空機製造大手ボーイングへの賠償請求に踏み切った。」

■ MoneyVoice 5月23日の記事

以上の中国有利の見解と真っ向から異なる、中国不利の論説も参考までにのせておきます。

「—では、この新冷戦の勝者はアメリカになるのか中国になるのか。言うまでもないが、答えはアメリカだ。
世界最強の軍事力を持ち、ドル基軸通貨体制によって世界経済を支配し、最強の金融市場を持ち、イノベーションを生み出すシステムを保有し、あらゆる分野でトップを行く多国籍企業がキラ星のごとく存在し、今後も若年層の人口が増えていくのはアメリカである。
とすれば、最終的に新冷戦を制するのはアメリカであり、中国ではない。そうであるならば、今の中国は新冷戦に敗れて崩壊していく。」

■ 短期的にみるとファーウエイのスマホがアジア各地域で下取りできなくなっているなどの過剰反応が起きているが、中長期的にみるとファーウエイ問題は収束に向かう方向にあると言えるのでしょう。

なぜなら、今でこそ激減しているが、昨年来3億台以上の出荷台数があった実績を見ると、ファーウエイのユーザーには全く罪がないので、ユーザーの利益を守る動きが強くなっていくことは確実です。

ファーウエイ製スマホの出荷台数は日本だけでも180万4千台(過去1年間)に及び、全世界でのシェアが第2位であることから、Googleにとってもファーウエイは重要な得意先であり、無視できない存在です。ここでもGoogleは本音と建前をうまく使い分けて行かざるを得なくなるでしょう。

結論として日本市場では、ファウエイのスマホ新機種のP30あたりの発売が遅れるなどの弊害が発生することはあり得ますが、P20などの従来機種について大きな不都合が発生することはないでしょう。