時事

上は、Coronavirus Talk コロナウイルス対談: YOSHIKI &Shinya Yamanakaの写真です。

山中伸弥教授は自ら感染症の専門ではないとしながら、全人類の問題で黙っているわけにはいかないと云うことで、科学者として大変な熱意をもって、短期間で膨大な関連情報を集め一般公開されました。専用Webページは以下です。

https://www.covid19-yamanaka.com/cont2/main.html

この中には「YOSHIKIとの対談」や「専門用語を使わない、わかりやすい新型コロナウイルスの説明動画」があります。米国や中国や韓国の専門家の情報などもあり、集められた情報の幅の広さには感服させられます。韓国のエビデンスは頭を下げてでも、もっと手に入れたいと云われているあたりは、他の専門家にはみられない、科学者らしいバランス感覚がうかがええます。

このWebページを開かれたら、まず目次をご覧いただきたい。そして目次の項目ごとにざっと内容を確認してください。そうすれば山中先生の科学者としての良心と人類の危機に対する向き合い方が理解できるでしょう。

「専門用語を使わない、わかりやすい新型コロナウイルスの説明動画」 を目次の中から探し出して視聴していただけば基礎知識が得られるでしょう。批判はそのプロセスを経てからにするべきだと痛感いたしました。

緊急を要する世界的危機に関しては、言い争っている段階ではなく、批判するのは大いに結構だが相手に敬意を払う姿勢は忘れないでもらいたいと強調されています。山中教授のこのような熱意とバランス感覚を考慮したうえで、以下の最悪を考える批判的意見を見ていただきたいと思います。


「検査をしないかぎり感染者は増加しない」こんな誤魔化しの対応が続くようであれば、リスクはより高まることになるでしょう。

●孫崎享氏(外交評論家)

 新型コロナウイルスが世界各地で猛威を振るっている。当初、危険性は低いとして平静を装っていた米国のトランプ大統領も感染拡大に対処するため国家非常事態宣言を出した。各国が感染対策として最重要視しているのは「早期発見」と「早期隔離(自宅隔離を含む)」である。

 ところが日本は異なる。政府の方針は「37・5度以上の発熱が4日間以上続く時に相談し、必要に応じて検査する」というものである。検査は1日当たり約600件で、累積検査数は1万3000件程度である。

 この政府方針は感染拡大の防止に対して大きな懸念がある。感染の疑いがある潜伏期間中の人でも、検査前であれば家族はもちろん、さまざまな人と接触する可能性があるからで、「どうぞ、感染を拡大してください」と言っているようなものだ。

●ワシントンポストの記事より

先日の記者会見で、検査数の少なさをネグって「感染者数は韓国、中国、欧州よりも少ない」と、空疎なPRをしていた安倍首相だが、実はもうひとつインチキを口にしていた。

「これまでのデータでは感染が確認され、かつ、症状のある人の80%が軽症です。重症化した人でも半数ほどの人が回復しています。クルーズ船も含めれば、感染者の4割以上、600人に及ぶ方々がすでに回復し、退院しておられます」

この記事は新型コロナウイルスの感染拡大を予測したシミュレーション結果を解説したものです。日本の対応だと感染が突然・爆発的に拡大する恐れがあると警告しております。

●ブルムバーグ

ブルームバーグの記事には、「日本は十分に新型コロナの検査をしていないという批判がある」として、あまりにも実態が不透明な部分があると書いてあり、感染者をまとめた統計に掲載するのは不適切だと判断した結果、日報グラフから日本の数値を削除。見えない感染者が多く発見されていないままだと指摘し、日本の新型コロナウイルス検査体制に強い疑問を投げ掛けていました。

●末尾は、金子勝氏(立教大学特任教授)と児玉龍彦氏(東京大学先端科学技術研究センター名誉教授)の対談で「検査をしないかぎり感染者は増加しない」と云う問題のリスクを科学的に分析しています。

東京都の検査件数が異常に少ない問題を指摘し、これでは爆発的感染が避けられないと警告しております。オリンピックが感染者数を少なく見せる動機となっていると勘ぐられても仕方がないでしょう。首都圏がオーバシュートすれば、生活や金融経済に想像を絶する被害を及ぼし甚大な影響が避けられないでしょう。

東京大学先端科学技術研究センターにPCR検査機器が設置されており1キットで200の検査が同時にできることの説明がありました。実際に現場での見学が、ネット上でできました。

新型コロナウイルスは命に関わる問題でもあり、科学が主導すべき事柄です。科学が政治の陰に隠れ、政治が「やった感」を演出するなど論外です。ましてや報道が無批判にそれに従う姿は危機的状況です。

下の動画は55分程度ですから頑張ってご視聴ください。PCR検査の見学は後半にあります。PCR検査については各種の誤解があるので実際に見聞きすることが重要です。

児玉龍彦教授の説明もかなり専門的で予備知識がないと容易に理解できません。その為に、冒頭の山中先生のWebページのご紹介をしたのです。偏らない情報収集の姿勢には敬意を払うべきです。意に沿わない主張も一部あるかもしれませんが科学者の熱意は素晴らしいと私は大いに感銘を受けた次第です。

その上で私から次の警告を書き留めておきます。

2~4か月でコロナに起因するロックダウンが起きれば、金融経済の大破綻が起き国民生活がどん底に落ちるでしょう。食料自給率が38%の日本は世界の各国のロックダウンと、日本自らがロックダウンせざるを得ない事態により、輸入食料の入手難に襲われることもありうると云う覚悟が必要でしょう。

時事

新型コロナウイルスの感染蔓延状況

私は医療関係の専門家ではないので、今回の感染症に関しては新しい所見を述べることは出来ません。従って過去の記録を調べ「その記録に基づいて過去にあった事実を述べ、そのうえで現在の状況に対して指摘することが私にできる唯一の情報提供のあり方」と考えております。

2003年のSARSコロナウイルス、2009年の新型インフルエンザ、2015年のMERSコロナウイルスと、新型ウイルスは定期的に流行しています。それ以前にも、1918年の「スペイン風邪の世界的流行」のように突然変異ウイルスによるパンデミック(感染爆発)が存在しました。
注)
SARS:2003年中国で起きた重症急性呼吸器感染症で、コロナウイルスが病原とされる感染症です。
MARS:2013年に中東で起きた新型コロナウイルスの感染症です。
末尾のBloomberg Businessweekの世界のウイルス感染データーを参照してください。

今回は記録されたパンデミックでは初の、スペイン風邪に注目しました。それは次の通り記録されております。

1918年から1920年までの約2年間、新型ウイルスによるパンデミックが起こり、当時の世界人口の3割に当たる5億人が感染。そのうち2000万人~4500万人が死亡たのがスペイン風邪である。現在の研究では、そのウイルスはH1N1型と特定されている。

このスペイン風邪によって、最終的に当時の日本内地の総人口約5600万人のうち、0.8%強に当たる45万人が死亡した。1945年、東京大空襲による犠牲者は10万人。日露戦争による戦死者約9万人を考えるとき、この数字が如何に巨大なものかが分かるだろう。単純にこの死亡率を現在の日本に当てはめると、120万人が死ぬ計算になる。これは大阪市の人口の約半分にあたる。

当時の内務省の告示(内務省,143-144)

● はやりかぜはどうして伝染するか
はやりかぜは主に人から人に伝染する病気である。かぜ引いた人が咳やくしゃみをすると眼にも見えないほど細かな泡沫が3、4尺(約1メートル)周囲に吹き飛ばされ、それを吸い込んだものはこの病にかかる。

●(はやりかぜに)かからぬには
1.病人または病人らしい者、咳する者に近寄ってはならぬ
2.たくさん人の集まっているところに立ち入るな
3.人の集まっている場所、電車、汽車などの内では必ず呼吸保護器(*マスクの事)をかけ、それでなくば鼻、口を「ハンカチ」手ぬぐいなどで軽く覆いなさい

●(はやりかぜに)かかったなら
1.かぜをひいたなと思ったらすぐに寝床に潜り込み医師を呼べ
2.病人の部屋はなるべく別にし、看護人の他はその部屋に入れてはならぬ
3.治ったと思っても医師の許しがあるまで外に出るな

お気づきと思いますが、100年前の政府の対応が現在もほとんど変わっていないのです。学校の一斉休校が行われたことも同じでした。基本的な対策だから変わらないのでしょうか?そうだとしたら少なくとも新しい対策がもっと加わるべきではないでしょうか。医学が100年間で飛躍的に発展しているのですから。


次にWHOのパンデミックに関する対応を検証してみましょう。

WHOは2009年にパンデミック宣言に至る段階区分を発表しました。

フェーズ1~4は動物において感染症ウイルスが発生し、インフルエンザウイルスが人に感染するに至る段階

フェーズ5:1か所のWHO地域で2か国以上でウイルスの人ー人感染拡大が認められた状況、パンデミックが目前に迫っている事を意味し、迅速な対策が求められる状況。

フェーズ6:フェーズ5に引き続き、さらに他のWHO地域で、人ー人感染が認められている状況、ウイルスが、世界中に拡大していることが示唆されている。

これを見ると現在の新型コロナウイルスの状況はフェーズ6に該当しWHOのパンデミック宣言が出てもよい段階だと云えますが、事情があって2013年6月に改定案が出ていたのです。

その事情とは、2009年にメキシコから米国南部に発生した豚インフルでした。2009年6月にWHOはフェース6のパンデミック宣言を出したのですがこれが空振りに終わり、各国のワクチン大量購入が製薬メーカーを儲けさせただけで、無駄になったのです。WHOは各国から猛烈な批判を受けました。

WHOはこの苦い経験から2013年6月に改定案を発表しました。改正案は具体的推移の定義を避け次のような表現となりました。

間欠期>警戒期>パンデミック期>移行期>間欠期
ここで規定されたパンデミックス期は「対策実施期」としか定義されておりません。具体的な運用はWHOの判断にゆだねられたのです。しかし現実的には2009年の「フェーズ6」が適用される可能性が強いでしょう。

3/08の世界の新型コロナウイルス感染状況は次の通りです。

国別(死亡数/感染数)
中国 3,098/80,703
イタリア 366/7,375
イラン 194/6,566
韓国 50/7,313
アメリカ 21/493
フランス 19/1,126
スペイン 17/673
クルーズ船 7/696
日本 7/502
イラク 6/60
ドイツ 0/1,040

感染国は101ヵ国に及んでおります。これは「フェーズ6」に該当する状況ではないでしょうか。4月までに流行が収まらなければWHOがパンデミック宣言を出す可能性が高まります。一旦宣言が出れば終息宣言が出るまでは東京五輪は開催できなくなります。この場合の経済のダメージは大変なことになります。生活破壊は避けられません。

Bloomberg Businessweekのウイルス感染グラフ

縦軸:死亡率
横軸:1人の感染発症者が何人に感染を広げるかを示す

新型コロナウイルスとスペイン風邪の共通点に注目

上図では両者の共通点がいくつかあることに気付かれるでしょう。医療技術は100年前とは大きな差があり共通点があるとは思えませんが、この図は最近作られたものです。

感染者数が正確ではないので発症者としたこと、ワクチンや治療薬の見通しが立っていないことも共通点かもしれません。将来を考えると、発症者を基準にする方が正確なのかもしれません。

一般的にインフルウイルスは多種あり、H1N1型、H5N1、H7N9、及びそれらの数々の変種等「人-人感染」もある品種に特定して起こるものとは言えないようです。

大正時代の内務省告示(上記)によれば、人の集まりや患者への濃厚接触を避けるよう警告していることから見てもスペイン風邪には「人-人感染」があったと判断されます。そうだとすれば、これが最も重要な共通点と云えるでしょう。

いずれにしてもこのグラフは、我々に重要な示唆を与えるものだと思います。

次回は経済への影響に関する情報を集め、ご報告するつもりです。