経済

左は朝日デジタルの次の記事に出ていた図表です。

景気「悪化」に引き下げ 6年2ヶ月ぶり 3月動向指数

景気動向指数の基調判断が約6年ぶりに「悪化」となり、「景気後退」に向かうかどうかの分かれ目に立っていることが、鮮明になった。政府が思い描く中国経済頼みの回復シナリオも揺らぐ。先行きを楽観できないなかでも、政府は10月の消費増税を予定通り実施する構えだが、その判断に影響する可能性は残る。(5月14日朝日)

注)景気動向指数とは: 企業の生産活動や利益、有効求人倍率など、景気の動きに敏感な指標をあわせた指数。先行きと現状、過去の3種類があり、このうち現状を示す「一致指数」は内閣府が毎月、基調判断を示す。判断は「改善」「足踏み」「局面変化」「悪化」「下げ止まり」の5段階だ。

株価は乱高下するので、この指標が景気判断の有力な材料となります。内閣府の判断だから、これが「悪化」ということは相当深刻に考える必要があります。

図が示す通り過去の景気後退は「景気動向指数の悪化」に、ほぼに連動しているのです。

前回は日銀の「営業毎月旬報」の分析から経済予測をしましたが、その後どうなったかを含めて経済予測の注目ポイントを下記にまとめました。

現今の政治経済情勢は波乱に満ちて、かなり複雑化しているので完全な予測は不可能です。でも、何に注目していれば大まかな動向が分かるのかと云う事においては、現時点での予測が成り立つのではないかと考える次第です。

当然米中貿易戦争の行方がまず第一の注目点です。これを背景として国内に目を向ければ、追加経済対策(MMT)か消費税延期か、が目先の課題です。両者は二項対立というような単純な課題ではなく、複雑に絡み合いどちらに決まるか、或いは両方が濃淡の違いこそあっても同時進行するかを注視しなければなりません。

以上の視点は「前門の狼、後門の虎」と云う表現がふさわしく、これを言い換えればハイパーインフレかデフレの深刻化かと云う事になります。円高がもたらすデフレ効果と、限界に迫っている金融緩和の歯止めなきおカネのばら撒きのせめぎあいによる、選択の政治的混乱が予想されます。厄介なことに、これが政策的にはっきり色分けされるのでなく、株価の乱高下と同じように、激しくせめぎ合うことになるのではないでしょうか。

私は投資には関心はありませんが、あえて投資家の立場に立って考えるとすれば、次の指標に注目することになります。
1.日銀の当座預金残
2.日銀の政府預金残
3.長期金利および短期金利
4.国債発行額と日銀の引受額

5.不動産価格

この他、米中貿易交渉および世界経済の変動、為替相場、日経株価、ETF、物価動向、貿易収支、国政選挙結果、局地戦争、国家間の覇権争い、気象変動とその他の災害、等々を考慮に入れ、複眼的視野で見ることは当然です。

何よりも自分自身で考えることが最大の自己防衛となります。

最後に、デモクラシータイムスの「山田厚史の闇と死角」をあげておきます。これを視聴されれば必ずスッキリするでしょう。

 

経済

上図は日銀の最近のバランスシートです。これがどのように変化したら債務超過に陥るのか、説得力ある回答を探し求めてきたのです。関連情報を検索しているうちに、たまたま、これこそが適切な回答ではないかと云う貴重な情報に出会ったのです。

それは日本経済新聞の2018/6/7の記事でした。原文は末尾に掲載しますが、要点を述べれば、ポイントは保有国債にも当座預金にも金利があること。国債の利息は日銀にとって収入で、当座預金への利払いは費用です。17年度はこの収入が1兆2211億円で、費用が1836億円。差額の1兆円あまりが日銀の収益源でした。

私は今まで国債の額(資産)とその原資である当座預金(負債)の額にばかり目を奪われ、それぞれの金利がポイントであることには気づきませんでした。金利は直接、収入と費用でありそのバランスが崩れれば純資産である資本金、引当金、準備金の合計額以上の費用が発生したときに、債務超過となるのです。

2018年3月には、既に日本経済研究センターは、金融緩和の出口で待ち受ける未来に警鐘を鳴らしていました。その時の収入と費用は上記の通りでした。

最近の日銀のバランスシートから、その後如何に債務超過に近づいているかを、ここで分析してみたいと思います。
2019年4月20日現在、国債は473兆円です。一方その財源である当座預金は397.5兆円です。注目するべき点は国債の殆どは長期国債であること、当座預金はわずか1ヶ月余り(2019年3月10日との比較)で22.2兆円増えていることです。

当座預金は市中銀行が日銀に預けているもので、日銀の側から見れば借金です。このうちには法定準備金が含まれるとはいえこれだけ当座預金が膨れるとその比率は僅かでしかありません。

市中銀行は金利がよくないと当座預金に残しておくのは不利です。日銀の当座預金が急膨張しているのはこの金利が高止まりしていることの証左ではないでしょうか。最近イールドカーブの逆転が問題になっていますが、もしかしたら当座預金の金利と関連があるのかもしれません。市中銀行は安い長期金利で借りて、高い短期金利で回していれば儲かる算段です。

結論を言えば、少なくとも「日銀は出口戦略に行き詰まっている」ということは確実です。

あとは、2018/6/7の日本経済新聞の記事を付記しますので、皆様で考えてみていただきたいと思います。

膨らむ日銀 債務超過の足音、描けぬ出口戦略 2018/6/7日本経済新聞
膨らむ日銀 債務超過の足音、描けぬ出口戦略政策研究 コラム(経済・政治)2018/6/7 17:30日銀の自己資本は底をつき、債務超過に陥る――。日本経済研究センターは3月、金融緩和の出口で待ち受ける未来に警鐘を鳴らした。2022年度に2%上昇の物価目標を達成した場合、24年度からの7年間の損失は計19兆円となり、自己資本(8兆円)が吹き飛ぶというのだ。

日銀の資産と負債を図表に示した。3月末時点で528兆円ある資産のうち、448兆円と大半を占めるのが国債で、負債の過半は金融機関が日銀に預ける当座預金だ。日銀が国債を購入し、市中に供給されたお金は民間経済を巡り巡って日銀当座預金に戻ってくる。この5年で、保有国債と比例し、増えてきた。

ポイントは保有国債にも当座預金にも金利があること。国債の利息は日銀にとって収入で、当座預金への利払いは費用だ。17年度はこの収入が1兆2211億円で、費用が1836億円。差額の1兆円あまりが日銀の収益源だった。

だが、出口の局面では利払いが利息を上回る可能性がある。国債利回りが下がり金額ベースで利息は頭打ちだが、将来の利上げ局面では利払いが急増する。当座預金は3月末で378兆円。仮に1%に利上げすれば3.7兆円の利払いが必要になり、逆ざやになる。損失は利上げのペース次第で大きく変わるし、利上げできる経済環境なら長期金利も上がり、国債の利息収入も増えて損失を抑えられるかもしれない。

ただ、日銀は国会で追及されても「具体的な試算を示すのは適切ではない」(黒田東彦総裁)と歯切れが悪い。日銀もこうした想定に対し、手をこまぬいているわけではない。15年から、国債の利息収入の半分弱(年4千億~5千億円)を将来の損失に備え引き当て、昨年からは国債の購入量も減らしている。表向きは長期金利のゼロ%誘導のためとするが、財務の健全性を確保するねらいもある。

日銀は資本が細っても、民間の企業や銀行のように債務不履行には陥らない。日銀自らが円を発行し、日銀券を刷り続けられるため「資金繰りに行き詰まることはない」(雨宮正佳副総裁)からだ。だが、日銀が過小資本となれば、信用が揺らぐ。政府の支援が必要になると、金融政策の独立性が脅かされ、通貨の信認を失うおそれもある。会計検査院は「財務の健全性の確保に努めることが重要だ」と日銀に対し、さらなる利益の積み立てなど対応を求める。

異次元緩和を始めた当初は物価を上げることに集中し、財務問題は二の次だった。だが、昨年末ごろからはたとえば1%程度の物価上昇でも長期金利の誘導目標を引き上げられないか、検討を進めている。しかし物価の上昇率は1%でも遠い。ある日銀幹部は「まだ出口を議論する段階にすら至らないことが、より深刻な悩みだ」と話す。資産ばかり膨らみ、財務のもろさは深刻になっている。(後藤達也、浜美佐が担当しました)