政治

MMTは棚上げにしたい。
理由は緊急にお伝えしたいテーマが現れたからです。

お約束した手前、全く触れないわけにはいきません、一つだけMMTに関する見解を述べておきます。
棚上げの理由の一つですが、自民党でも「日本の未来を考える研究会」と称して、MMT研究が昨年来始まっています。野党の一部のMMT論者がこれに同調する現状を考えると、どこが違うのか見極める必要が出てきております。もう少しその動向を見極める必要が出てきたのです。

末尾に関連する動画2本をご紹介しておりますので、お時間が許せる範囲でご覧いただければと思います。

さて、本題に移らせていただきます。
最近マスコミで問題になっている中高年の「引きこもり」問題の裏に隠れた、就職氷河期で非正規雇用となった人々(以下ワーキングプアと呼びます)の話です。
中高年の引きこもりは61万人と云われております。それに比べてワーキングプアクラスは700万人も存在するのです。だから「ひきこもり」は問題を矮小化するプロパガンダだと云うこともできます。引きこもりには某事務次官の息子殺しも含まれます

貧困率は社会における貧困状態にある人々の全体に占める割合です。厚生労働省の平成28年の国民生活基礎調査の概況によると2015年の日本の貧困率は15.6%でした。主要先進国の中では米国に続いて2番目に高い数値となっております。

日本の人口1億2千万から計算するとなんと1870万人が貧困状態にあるということになります。貧困は就職氷河期の700万人を遥かに超え、あらゆる年齢層に及んでいると云っても過言ではありません。特に単身で子持ちの非正規で働く女性、老齢で国民年金だけでは食べていけなく、65歳過ぎて非正規で働かざるを得ない年寄りの生活の悲惨さは想像を絶するものがあります。広い意味でのこれらの貧困層を含めたワーキングプアをアンダークラスと呼ぶことにします。この層は700万人の倍の1400万には達するでしょう。

これらの貧困層が大量に生まれた原因はどこのあるのでしょうか?
小泉政権で竹中平蔵が旗を振って規制緩和と称して労働の規制緩和つまり非正規雇用を推進したことが最大の原因です。非正規社員を量産したにとどまらず竹中平蔵はパソナの会長となり派遣事業に乗り出したのです。貧困を生み出した張本人が貧困を食い物にするとはなんと非情なことでしょう。竹中はその後、安倍政権で政府委員に就任し数々の規制緩和・特区事業を推進したのです。利益誘導を図りながら「一点の曇もない」と云ってのける態度は、学者というより政商と云ったほうが適当でしょう。

新自由主義経済は格差を拡大し1%のエスタブリッシュメントが99%の収入の半分を独占することに関連し、r>gをトマ・ピケティーが長年データーを集めて実証したところです。このような経済構造ではトリクルダウンなどほとんど無く、大企業に450兆円の内部留保をもたらしただけでした。

大量のアンダークラスは食べて行けず働けど働けど人生に明るい希望を持つことができないでおります。この状態で「働き方改革」を唱え、自己責任で2000万円の老後資金を用意しろとはなんと酷い仕打ちでしょうか。これでは出生率がどんどん下がり現在1.43にまで落ち込んでいるのは当然の成り行きでしょう。重ねて、老齢化と出産可能年齢の女性が激減している現状は、正に国家が破綻に近づいているか、社会がこわれてしまってしまった状況なのです。

深刻なことに、世界は大不況を迎える様相が迫っているのです。ドイツ銀行はシャドウバンキングだけで1700兆円デリバティブに至っては銀行のトップでさえ把握できないほどの大きさです。ちなみにリーマンショックの金融破綻は100兆円でした。比べたらいかに大きいか分かるでしょう。EU圏全土に及ぶことは避けられず。米中の貿易戦争から生ずる米中の経済危機と重なり、更に日銀の出口戦略の展望がない状況から借り換え国債の発行でさえままにならず、超低金利で悩む市中銀行は大幅なリストラが避けられない状況です。

暗い話ばかりで恐縮ですが、処方箋としては先ず金融システムを根本的に作り変える必要があるでしょう。信用創出をグローバル金融資本から民衆に取り戻すしかありません。

今後科学技術は急速に進歩するでしょう。AI、IoT、ブロックチェーン、5G、マイクログリッド、デトックスフロー蓄電池、自動運転、エネルギーコスト(電力コスト)の大幅低下等の果実が期待できます。この果実を正しく分配できれば貧困問題は急速に改善されるでしょう。逆に今までの金融システムが変わらず、一握りの金融資本家にゆだねておれば、格差は極端に増幅し、職をなくした貧困層が更に増えるでしょう。

この根本問題を避けて通る事はできません。先ず現状を直視することです。中産階級は縮小しておりますが、いわゆる新中産階級が生まれてきたおります。富を持つものは社会が崩れたら無関係で過ごせるでしょうか? 社会不安は貧富を問わずその生活の安定性を奪うのです。

「アンダークラス」の著者・橋本健二氏の提言です。
アンダークラスの投票行動を調査したところ、今のところどの政党からも距離をおいており投票に行かない層が多く居ます。正に棄権する2000万人の多くの部分を占めているのです。アンダークラスの政治意識は複雑で、所得再配分は強く支持するにかかわらず経済問題・環境保護・脱原発・憲法改正と軍隊の保持のどれに対してもはっきりした意思をを示さない、むしろ「わからない」と云う回答が多いのです。

橋本氏は「伝統的な左派、あるいはリベラル派は所得再分配に加えて環境保護・憲法・脱原発などと云った主張を当たり前のように併置し、これらがひとまとまりの論理整合的な主張であるようにみなしてきた」と述べている。もちろんこれは間違ってはいない。政権の悪政をあげればこれはますます膨らみ、もぐら叩きの様相を呈するのです。

2000万人を投票に結びつけるには所得再分配に絞った主張の政党があっても良いのではないか?
それぞれの政党が役割分担することがあっても良いのではないか。憲法を重視する政党、環境やエネルギー政策を重視する政党、アベノミクスやTPPを批判する政党、対米自立を重視する政党、これらが足の引っ張り合いをするのでなく役割分担をして政権交代を目指す。

今一番欠けている「所得再分配」を主張の根幹として、(財源問題では欠陥商品の無駄なF35、イージス・アショアに投じられている莫大な財政支出を所得再配分に向けろ、くらいのところまで拡張してもかまわない)現状を直視しわかりやすくその原因を提示し投票に行くことだけに重点を置いてすすめてみたらどうだろう。

最後に二つの動画をご紹介しておきます。

自民党「日本の未来を考える研究会」

金子勝氏の講演

経済

カルロス・ゴーンが危機的状況の日産自動車に赴任したとき、まず一番に行ったことは、現実を正確に把握することだったのです。このため現場に入り込み生の声をキャッチすることに努めたのです。最近のゴーンの行動についていろいろ批判はあるが、日産に乗り込んだ時の改革について当時は感動を覚え、今でも評価しています。

ところで、現在の日本の状況は当時の日産自動車と酷似しているのではないでしょうか。国際比較における日本の地位は急降下しているです。現実を見ないで現実から目を背ける悪弊は日本の社会全体に蔓延してしまっています。経済同友会の「茹でガエル日本」は見事にこの病弊を指摘しています。

■ 最近、日銀が内閣府の発表するGDPから離れて、独自のGDPを運用すると発表しました。政府の発表するGDPを元に政策を構築すれば自滅するしかないと云う危惧をもったのでしょう。いくら黒田総裁が政府と一体化しても、日銀自体が自滅すれば元も子もないと気付いたのでしょう。

MoneyVoiceの投資コンサルタントは次の通り怒っております。

「一連の統計不正は、役人が勝手にしでかしていることなのか。はたまた人事権を握られているがゆえに、妙な忖度が働いて、時の為政者にとって都合のいい数字を改ざん・ねつ造するのがひとつのプロセスマネジメントとして確立してしまっているからなのでしょうか?

この部分だけをとってみても、まともな仕組みにいっさい戻そうとしない安倍政権に、相当悪辣なものを感じる次第です。

平成が始まった頃はまだここまで酷いことはなかったのではないかと思いますが、我々が気づかなかっただけで、昔からこんな状態だったのでしょうか?いつの間にかこんな酷い国になってしまったことに、さすがに驚きを隠せない状況です。」

これではまるで、旧ソビエトのGDPが公表数値の半分程度しかなかったのを見習っているかのようです。

■ 以上のような経緯から、現実を直視するとどうなのかを調べてみました。大変参考になったのは、孫崎亨氏の情報でした。この貴重なデーターを拝借して下記します。

先ず、CIAのワールド・ファクトブックの「購買力平価ベースのGDP国際比較」です。購買力平価については後で説明するとして、ここではこの指標が各国のGDPの実力をもっとも正確に示すものだということだけを指摘しておきます。

中国:23兆ドル、アメリカ:19兆ドル、日本:5兆ドル。なんと中国はアメリカを追い抜き、日本は中国の4分の1以下に落ち込んでいるのです。

■ 国力の差はこれだけではありません。
            中国      アメリカ    日本
自動車生産台数    2780万台  1131万台  971万台

鉄鋼生産量       928246トン   86698トン   104328トン

5Gの特許件数    ファーウエイ   クアルコム+インテル
             1529件     1337件

5G競争で未来の主導権につながる特許件数でもファーウェイは他社を圧倒している。世界知的財産機構によると、昨年の5G関連特許出願件数はファーウェイが1529件で、ノキア(1397件)やサムスン電子(1296件)より多い。中国のファーウェイ、チャイナテレコム、ZTE、OPPOなどの5G特許件数(3400件)と韓国のサムスン、LGエレクトロニクスの特許数(2040件)を比較しても中国がはるかに多い。アメリカはクエルコム787件インテル550件(1337件)で中国の半数にもとどかない。日本は世界ランク10社の中に、わずかシャープ1社が入っているが現在シャープは台湾企業の傘下にあります。

■ 購買力平価ベースのGDP<物価水準の違いを考慮している購買力平価GDP>

各国の対ドルレートの代わりに購買力平価でもってドル換算したものが購買力平価GDPである。購買力平価は自国と相手国で取引されている様々な商品の交換比率を表している。例えば、日本で売られるハンバーガーが1個80円で米国が1ドルであれば、一物一価の法則(1つの物には1つの値段しか成立しない)の基では、両国でハンバーガーを取引する場合の交換比率(購買力平価)は1ドル=80円ということになる。

円の対ドルレートは、外国為替市場(銀行や証券会社のディーリングルーム)で取引される円とドルの需給で決まるが、日本の購買力平価は日米間の貿易取引が行われる品目の交換比率からもたらされる。

実際に日本のドルベースの名目GDPを計算してみると、2015年における日本の円ベースの名目GDPは500兆円であることから、これを2015年の対ドルレート1ドル=121.0441円でもって割ることにより、ドルベースの名目GDPの4.1兆ドル(500兆円÷121.0441円/ドル)を得ることができる。同様に、日本の購買力平価GDPは、2015年の日本の購買力平価である1ドル=103.331円(IMF作成)から、4.8兆ドル(500兆円÷103.331円/ドル)に換算することができる。

IMF発表の購買力平価ベースのGDP・国際比較

 

孫崎さんのデーターは、IMFのデーターとほぼ合致していました。

次回は再びMMTについて、日米のバックグランドの相違点と、自民党の「日本の未来を考える研究会」(MMT研究会)が目論むインフレ政策の問題点を取りあげます。