経済


MMT(Modern Monetary Theory、現代金融理論)が、注目を集めている。独自の通貨を持つ国の政府は、通貨を限度なく発行できるため、デフォルト(債務不履行)に陥ることはなく、政府債務残高がどれだけ増加しても問題はない、という考えです。

MMTの弱点は、金融市場の「反乱」だ。今は歴史的にみても低い水準にある金利が、政府や中央銀行への信頼が失われたときに、跳ね上がるリスクがある。リフレ派マネタリストの理論の焼き直しで、アベノミクスで実行されている超金融緩和こそ、そのものではないでしょうか。

以下は山本太郎自由党国会議員の主張に対する金子勝教授等の反論のYOUTUBEです。まずこれを視聴していただきどちらが正しいか判断していただきたいのです。

https://www.youtube.com/watch?v=fkTRy-Qtnoo

これは正にMMT理論の日本版についての批判なのです。

これに関して、私の考えを述べさせていただきます。

1.オカシオ・コルテスやバニー・サンダースには、確かにMMTを支持するような発言もありました。しかしアメリカの社会民主主義は格差問題に焦点を合わせて、最高税率を大幅に(75%)に上げろと言っています。金融緩和一辺倒ではありません。したがって格差是正を無視したMMTではないのです。

2.日本の現状にMMTを適用するのは、とんでもない欺瞞だと思うのです。何故ならアベノミクス自体がMMTを実行しているからです。

アベノミクスの三本の矢はアベノミクスとは①大胆な金融緩和、②機動的な公共投資、③構造改革の3本の柱からなる安倍政権の旗印といってもいい経済政策だが、その最大の特徴は①の金融政策にあります。景気が良くなると物価が上がるという理論に基づき、人為的に物価をあげれば景気がよくなるという仮説を立てた上で、大胆な金融緩和によって円安を引き起こすことで物価上昇を実現すれば、経済成長が実現できるというものです。

安倍政権と日銀が目指した前年比2%の物価上昇は6年経った今も終ぞ実現しなかったが、とはいえ実際には物価は確実に上昇してきた。例えば2013年から3年間だけでも物価は4.8%上昇し、そのうち2%分は消費税増税に起因するもの、2.8%は円安に起因するものだった。

しかし、その間、景気は一向によくならなかった。GDPの6割を占める消費が、まったく上向かなかったからです。

実質賃金の上昇がなく、格差が拡大し富が集中した状況で消費が伸びるわけがないのです。

3.安倍政権が日銀総裁や財務官僚の人事権を独占して、日銀も財務省も意のままに動かしている状況で、MMTを正当化することはアベノミクスの罠にはまる結果となります。

①大胆な金融緩和、②機動的な公共投資、③構造改革、の③はまさに産業政策ではないか。産業政策がうまくいかない①大胆な金融緩和、②機動的な公共投資、これこそが国民を不幸に落としれる元凶なのです。

4.大幅に譲歩して、MMTには、よいMMTと悪いMMTがあるとすれば、アベノミクス下におけるMMTは明らかに悪いMMTでしかない。その証拠に日本の現状下でMMTを唱えることはアベノミクスへの批判を封ずることになるからです。

私は山本太郎氏や三橋貴明氏の云うバラマキ論がMMTと全く同じとは思はないが、これに関しアメリカの中央銀行FRBの第9代議長、ウイリアム・マークチェにズニー・マーチンJrの次の言葉を思い出しました。「我々の役割は、まさに宴たけなわのその時に、お酒を会場から持ち去ることだ」と。今から30年以上前に当時はその片鱗もなかった超金融緩和の出口論を言い当てているのです。

山本太郎や三橋貴明は宴たけなわのとき、飲みすぎてフラフラになっている人が多く出ているときに更に「もっとアルコールを注入せよ」と云うに等しい。
人間の体には、自浄機能や自律的な回復力がありますが、その限界を超えたときは医者の手助けが必要になるのです。政治が経済を狂わせるとき、医者がヤブ医者だったり患者の治療よりカネ儲けを優先したらどうなるか?、患者の命が危険にさらされるのです。だから、危機意識の欠如に金子勝先生が怒るのは当然だと思います。

山本太郎氏が三橋貴明氏の影響を強く受けている事実は3回にわたる(三橋TV に公開、三橋氏の経済講座で山本太郎氏をお招きしたとされている)対談と称する個人指導を受けていることを見れば明白です。安倍首相と会食した人の話を聞き賛同している山本太郎氏の意図が読めません。

三橋貴明氏がどのような人物かは2018年2月6日~7日の産経ニュース( 産経新聞と産経デジタルが提供するWEB版ニュース)で報道されていますので、ここではあえて説明しません。
あとは皆さんでご判断ください。

次回は「陰謀論の正体」田中聡著の読後感をお伝えできればと考えております。

政治

前回、村上誠一郎衆議院議員について突っ込んだ評価を示すことをお約束しました。
今日は、その著書「断罪」政権の強権支配と霞が関の堕落を撃つ(村上誠一郎氏と古賀茂明氏の対談)
のご紹介と読後感ということになります。

まず、この本は246ページのボリュームですが、その大半は金融経済と財政政策の現状分析(アベノミクスの破綻とその批判)に終始していると言っても過言でありません。

よく読んでいくと、これは当然のことだと理解できます。何故なら安全保障、社会福祉、産業政策、外交などその他の社会の歪の殆どが、もとを質せば金融経済と財政政策にたどり着くからです。
言い換えればアベノミクスの破綻・失政を正しく批判できなければ、改憲も安全保障も格差問題も少子高齢化も教育再生も正しく論ずることは出来ないからです。

野党にこの視点が欠けており、野党議員の多くは殆ど不勉強だということがこの本を読めばよく分かるのです。政権批判の基本的姿勢は村上氏のほうがはるかに優れていると思います。

私は金子勝氏の野党批判(野党議員の多くは自分のことしか考えていない–まさに犯罪的である)について、直ちに立憲民主党に見解を求める質問状を提出したのですが、通り一遍の「参考にさせていただきます」の定型文で自動的に返事が来た以外にまともな答えは2週間経ちますが一切来ておりません。

前置きはこれくらいにして村上氏の発言の要点のみ以下に挙げました。

「私が現在、一番心配しているのは何をおいても財政の危機です。アベノミクスの三本の矢、財政と金融と成長戦略ですが、これらはとっくに頓挫しています。財政も危機的状況の一歩手前で、もはや限界。日銀による国債買上げ、市中に金を流す金融緩和も同様で、これまた限界に来ています。

アメリカのFBRやヨーロッパの中央銀行も金融緩和をやりましたが、彼らには節度がありました。大体GDPの20~25%までしか国債を買わなかったのです。それ以上買うとそれぞれに国の国債の信用を失うからです。しかし日銀はいま、GDPの81.3%まで買い進んでいます。

三番目の成長戦略に至ってはこれと云った中身がなく、実質的にはアベノミクスは頓挫しているのに、なぜ引き続きアクセルを踏もうとしているのか、直ちに方向転換すべきです。日銀総裁は本来通貨の番人であるはずなのに、今やすっかり安倍政権の番人になり下がっている。」

「これは明治時代からのGDPに対する国の借金ですが、これを見ると、戦争の弾が買えなくなるほど国庫が底をついた日露戦争のときでも、GDPの60%強しか借金がなかったのです。

しかるに今は、ご承知のように、国民の金融資産が約1800兆円あって、住宅ローンを引くと1300兆円強です。これに対し、国と地方を合わせた借金がだいたい1300兆でほぼ資産と同じです。

これだけの資料を出してもまだみんながその深刻度がわからないので、もう一つ使っている資料がこれなのです。要するに2025年までに団塊の世代がすべて後期高齢者になるというのがポイントです。2000年時点の医療、年金、介護の費用は78兆円だったのですが、2025年にはその倍、約150兆円になるのです。医療だけでも毎年1兆円ずつ増えているわけですから、どう考えても日本は救われない。リフレ派の人たちが、まだまだ借金ができるという根拠は何なんでしょうか。」

——日銀と政府のバランスシートを足してみれば日銀の国債という資産で日本政府の借金は相殺されるというバランスシート論も論破しています。全般的に、資料は多く用意され、根拠ある展開には感心させられます——

この他、印象に残った発言を列記しておきます。

「私は以前から指摘しているのですが、公務員法の改正によって人事を官邸に持っていった。それで、まともなことを云うと官邸が、自分たちの意に沿わないということでポストから外すので、官僚たちは物言えば唇寒し秋の風になって、それでみんな黙っている。
それと同じことが自民党内にもあるわけです。これはもう小選挙区制になったときから、分かっていたことなんです。小選挙区制になると、公認・比例の順位・政治資金などのすべてが執行部に握られるんです。」

「安全保障の要諦は「敵を減らして味方を増やす」ことです。安倍さんのように敵ばかりを増やしたら、いくら防衛予算を増やしても追いつきません。」

「最近はありがたいことに、私と同じような主張を述べる人がいろいろ出てきて、意を強くしているのですが、その一人が、アメリカの著名投資家のジム・ロジャーズです。ジョージ・ソロスやウオーレン・バフェットと肩を並べる世界的な投資家のの一人ですね。彼がアメリカの投資情報のラジオ番組で今の日本についてこう話しています。”もし私が十歳の日本人ならば—-私は自分自身にAK-47(自動小銃)を購入するか、この国を去る事を選ぶだろう。何故なら彼ら彼女らはこれからの人生で大惨事に見舞われるだろうからだ。” さらに、”将来にツケをまわすような政府を一日も早く退陣させろ” と云っています。やっぱり、もう安倍さんにお引取りを願って、一日も早く方向転換しなければいけません。」
*********

以上は殆ど「破綻した金融経済をどう立て直すか」に関することですが、これに関連して庶民を潤す成長戦略、憲法改正をめぐる外交と安全保障の誤ちを糾す、日本を危うくするアベ政治の実態、希望は教育の再生にあり、など多岐にわたり論じられております。

読めば読むほど野党の議員さんたちの不勉強が気にかかります。個々の問題については政権批判に努力しておりますが、もぐらたたきに終わっています。基本的な問題、金融経済・財政について殆ど無理解です。結果的に「決定打としてのアベノミクス批判」が出来ないのです。「もっと金を刷って福祉を充実しろ」などという無知ぶり、金子勝先生に「犯罪的」と言われても仕方がありません。

次回は「MMT」を中心にして世界の覇権の激変と世界恐慌の実態について述べたいと考えております。