政治

「ワールド・ウエルス・レポート」によれば日本は世界第2位の富裕層を抱える、世界有数の格差社会となっている。

世界有数のコンサルティング、テクノロジー&アウトソーシングサービスプロバイダーであるキャップジェミ二が、2017年に、発行した2017 World Wealth Report (WWR)が最近注目されている。

HNWI=high-net-worth individualとはなにか?
HNWIとは、個人富裕層:巨額(100万ドル以上)の金融資産を持つ個人のことだ。
「主な居住用不動産、収集品、消費財、および耐久消費財を除き、100万米ドル以上の投資可能資産を所有する者」である。米国のHNWI人口は528.5万人 と、316.2万人の日本、136.5万人のドイツをはるかに上回っている。(9月9日HNWI人口の単位に間違いが見つかり訂正しました。お詫びいたします)

HNWI人口が最も多い10カ国を見てみよう。各国・地域のHNWI人口から、富が世界中にまんべんなく分散されているのではなく、経済大国に集中していることが分かる。

10位 イタリア 27.4万人
9位 オーストラリア 27.8万人
8位 カナダ 37.7万人
7位 スイス 38.9万人
6位 英国 57.5万人
5位 フランス 62.9万人
4位 中国 125.6万人
3位 ドイツ 136.5万人
2位 日本 316.2万人
1位 米国 528.5万人

日本の富裕層が多いのが目立たないのは、アメリカのように金持ちを、成功者だとするような風潮がなく、富裕層自体がなるべく目立たないよう、ひっそりと隠れているからだとも云われる。その証拠に米国の富裕層は表に出て堂々と社会貢献や寄付をしているが、日本の富裕層は目立って寄付をすることが少ない(つまりケチだ)。

一方、日本の税制といえば年収500万のサラリーマンの税負担率より年収100億の金持ちの方が税負担率が低い。これは金持ちの収入の内20%の分離課税の比率が高いことが原因している。収入源をきめ細かく把握すればこの弊害は縮小するはずだ。消費税でこれをカバーするようなやりかたは「金持ち優遇」と言われても仕方がない。

格差解消のトレンドが世界の潮流となっている現実から日本は大きくかけ離れている。米国ではサンダース、英国ではコービン、フランスではメランションなど左派の活躍で、格差解消の闘いが激化し、民衆の参加を拡大している。

次回はアメリカのこうした状況をナオミ・クライアンの「Noでは足りない」と云う著書の紹介から、紐解いていきたい。中間選挙や次期大統領選にも多大な影響があるので、関心を持つ必要がある。日本の市民運動にとっても参考になる点が多くある。

経済

日銀が保有する国債に関して、政府の負債と帳消しになって連結バランスシートには出てこないとし、これをもって日銀がすべて購入すれば政府の債務は解消すると云う論者もいる。
しかし日銀のバランスシートでは負債の部に市中銀行の当座預金が370兆存在し、法定準備金を除いた当座預金には金利がついている。現在においてはマイナス金利乃至ゼロ金利のため問題はないが金融緩和が出口を迎えれば金利はプラスとなる。つまり、国債が利付の超過準備金に置き換わっただけと云うことになる。
政府と中央銀行は金融政策によって準備預金金利を低水準に抑えようとするかもしれないが、グローバル金融市場の圧力(国境を超えた資金移動)に長く抗することは難しい。
日銀が自らの収益によって金利を払えなくなれば当然国が補填せざるを得なくなる。これは国の財政破綻につながる。「ヘリコプターマネー」、具体的には中央銀行による国債の直接引き受けと償還のない永久国債(コンソル)化も、債務を消すマジックにはなり得ない。
中央銀行は人為的に金利を抑えることができるがこのような「金利抑圧」は金利が統制されていた時代の政策であり、ヒト・モノ・カネが国境を超えた資金移動にさらされるグローバル経済になじむものではない。
中央銀行の独立性の維持はグローバル経済では基本条件であり、政府が日銀と一体化し金融政策を歪めている現状は持続性に欠ける。日銀の人事にまで政府が介入するに至っては言語道断と言わざるを得ない。